「いつくもの事業を立ち上げた経験を持つ彼は、今度こそ本当に成功することを望んでいる」--Open Source Applications Foundation(OSAF)のウェブサイトにあるMitch Kaporの紹介文には、こう記されている。
Kaporが最初の挑戦で華々しい成功を収めたことを考えると、これはおかしな言い草に思える。彼は、1982年に設立され後にIBMに買収された LotusDevelopmentの共同創業者であり、パーソナルコンピュータの企業内利用に弾みをつけたといわれる表計算ソフト「Lotus 1-2-3」の共同開発者でもある。
当時に比べると、近年のKaporの活動はあまり知られていないが、オープンソース推進派の多くも、彼の挑戦が成功することを、そしてその結果コンピュータ業界の力学がふたたび変化することを、Kaporと同様に望んでいる。
プロプライエタリ・ソフトウェアの全盛期に財を成したKaporは、54歳になった今、オープンソースソフトウェア開発を専門とする2つの団体を率いている。その1つは彼が代表と会長を兼任するOSAF、もう1つは彼が会長を務めるMozillaFoundationだ。Mozilla FoundationはNetscape Communicationsがブラウザ開発のために設立したもので、NetscapeがAOL Time Warnerに買収された後、独立組織となった。
この2つの団体の目標は新たなキラーアプリケーションを生み出すことではなく、オープンソースの開発モデルを使って、Microsoftのウェブ閲覧ソフトと電子メールソフトを現在の独占的な地位から引きずり下ろすことだ。
CNET News.com はKaporにインタビューを行い、彼が運営する両オープンソース団体や慈善団体について、またMicrosoftとの戦いやMozillaの過去について話を聞いた。
--まずは基本的な事柄からはじめたいと思います。なぜ、オープンソースなので すか。
オープンソースが意味するものは人によって異なります。消費者にとっての重要性と、開発者にとっての重要性は違う。しかし基本的に、オープンソースはソフトウェアの開発/配布という大規模な経済活動を営むための、まったく新しい方法です。この方法には数々の優位点がありますが、万能薬ではありません。
長期的に見ると、オープンソース製品はソフトウェアの利用者にとって、より安価で質の高い選択肢となるでしょう。オープンソース製品には利用者(個人や組織)の自由度が高いという特長もあります。
--Lotusでの経験は、あなたの現在の考え方にどんな影響を及ぼしていますか。
オープンソースを大きく変えた出来事の1つは、1980年代に私がLotusを離れた後に起きました。それはLinuxの登場であり、もっといえば、純粋なGPL(General Public License)以外のライセンスモデルが登場し、広く利用されるようになったことです。オープンソース製品はビジネスソフトウェアの世界に進出するようになりました。私がLotusにいた頃は、その兆しすらありませんでした。
1990年代が終わろうとする頃には、もはやプロプライエタリな開発モデルでは、PCユーザーの誰もが利用するような日常的なアプリケーション--たとえば電子メール、表計算ソフト、ワードプロセッサに革新をもたらすのは困難であることが明らかになっていました。業界には停滞感が漂い、オープンソースがこの状態を回避する手段として浮上しました。既存の製品ではEメールを管理することも、あふれかえる情報を整理することもできないことに、多くの人がいらだちを感じていました。
--状況は今も変わっていませんか。
変わっていません。最近の特筆すべき変化は、Firefoxが早くも大きな勢いを得て、何百万人ものユーザーを獲得し、市場シェアを目に見えて伸ばしていることです。これは、完成度の高い製品であれば、オープンソースであっても、世界市場に影響を与えうることを証明しています--私はブラウザもこうした日常的な製品の1つだと考えています。
--Firefoxの勢いが衰える日は来るのでしょうか。
未来のことは誰にも分かりません。もちろん、Firefoxの市場シェアが伸び続けると断言することはできません。オープンソース推進派はもう少し慎重になり、断言や予言は避けるのが賢明だと思います。しかし、Firefoxの追い風となる基礎的条件も存在します。Firefoxはすぐれた製品であり、小さく、高速で、しかも安全性が高い。この点に異論を唱える人はいないでしょう。次の問題は、それでどこまでいけるかです。少なくとも、 MicrosoftにIEの改善を促すことにはすでに成功しています。
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