ノートPCに関しては、軽量化が必ずしも機能削減につながるとは限らない。
消費者はここ数年、デスクトップPCを捨てて、持ち運びが簡単なノートPCを使うようになっている。もしIntelが自社の意志を貫けば、この傾向は2005年も続くことになる。
同社は米国時間19日、Centrinoチップファミリーの新バージョンを発表した。同社はこのチップバンドルを使って、ワイヤレス対応の軽量ノートPC--主としての2kg前後のマシンを指す--の性能向上を図り、さらにその使い勝手を上げて日常的に使われるものにしたいと考えている。
Sonoma(開発コード名)というこのノートPC向けの新技術は、これまでのものよりわずかに高速なPentium Mプロセッサと、Intel Mobile Express 915チップセット(開発コード名「Alviso」)、そしてWi-Fi用モジュールを組み合わせたもの。Intel Mobile Express 915チップセットには、Pentium Mプロセッサをサポートする複数のチップが搭載されており、また高速なバスや高性能なグラフィック処理機能など多くの点で性能強化が図られている。Centrinoブランドを冠したノートPCを販売するには、802.11b/gに対応するデュアルバンドモジュールか、802.11a/b/gに対応するトライバンドモジュールのいずれかをマシンに搭載しなくてはならない。
PCメーカー各社の話では、これらの機能によって新たなノートPC購入の波が起こるはずだという。
GatewayのWill Diehl(モバイル製品担当シニアディレクター)は、「1〜2年前に低価格のノートPCを購入した多くの人々が買い替えに走り、新しいマシンの全体的な性能向上にとても満足するだろう」と述べている。
Intelにとって、これはさまざまな種類のチップをコンピュータに売り込むチャンスといえる。Pentium M搭載ノートPCは、大部分がCentrinoを採用している。IntelのMooly Eden(モバイル製品グループ、バイスプレジデント)は、サンフランシスコで19日に行われた記者会見のなかで、現在はCentrinoを搭載したノートPCの60%に、Centrinoのなかでも高価なグラフィック機能を内蔵するチップセットが採用されているが、Sonomaではこの割合が増加すると語った。同社はまた、ワイヤレス技術を使いやすくすることにも取り組んでいる。
「2年前はワイヤレス機能の搭載率が10%未満だった。私に向かって『これはユーザーフレンドリーだ』という人もいたが、それに対して私は『多くの友人の助けを借りないと使えない』という点では確かにユーザーフレンドリーだ、と答えていたものだ」(Eden)
Centrinoが消費者向けに発売された2003年3月からこれまでに、Intelは同チップバンドルから50億ドルの利益をあげていると同氏は付け加えた。ノートPCの出荷数は年率16%の伸びを示していることから、市場に出回っているノートPCの数も2004年から2008年にかけて倍増する可能性が高いと、同氏は述べた。「あらゆる機能がいずれノートPCにも搭載されると思う」(Eden)
こうした傾向を後押ししているのは、IntelとCentrinoだけではない、と同氏は言う。液晶パネルなどの重要なパーツの価格も最近は下落傾向にあり、PCメーカー各社の価格引き下げや大型液晶搭載モデルの発売に一役買っている。
「これらの傾向と(Centrinoのもたらす)性能向上により、ノートPCは今後大きな成長を遂げ、デスクトップの成長が大きく食われる可能性もある」(Diehl)
市場調査会社IDCによると、2004年度第4四半期の全世界におけるPC出荷台数は13.7%という大きな伸びを見せたという。
ノートPCは特に消費者に人気が高く、米国市場では小売販売台数の二桁成長が続いている。The NPD Groupの暫定集計によると、2004年の感謝祭からクリスマスにかけてのホリデーシーズンには、米国でのノートPCの売上が26%増加したという。一方Gartnerは、2005年にはノートPCの出荷台数が16%増の5450万台に達する、との予測を示している。同社は、消費者向けノートPCは合計で2000万台をやや上回り、2004年比で20%増加するとしている。
しかし、Intelも市場の独占は期待できない。ライバルのAdvanced Micro Devices(AMD)も先ごろ、Centrinoに対抗するTurionの開発を明言しており、この軽量ノートPC用チップを今年前半にリリースする見通しだ。
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