ラスベガス発--好むと好まざるとに関わらず、Bill Gatesがあなたのリビングルームにやって来る日は近い 。
Gates会長の指揮のもとで、Microsoftは今、さまざまな形のエンターテインメントを共存させるソフトウェアとツール群の開発を進めている。「Xenon(次期Xboxの開発コード名)」ではメッセージングが重要な役割を果たすという。同社ではまた、Discovery ChannelやMTV Networksといったテレビチャンネルとパートナーシップを結び、コンテンツや広告をお茶の間に届けるツールを共同で開発していく予定だ。
競合企業からも目は離せない。音楽市場におけるApple Computer、検索市場におけるGoogleとYahooとの戦いに、Microsoftは今後も惜しみなく資金を投入していくだろう。
一方、同社の基礎研究所であるMicrosoft Researchは、新興諸国のインターネット接続コストを引き下げるための研究に取り組んでいる。メッシュネットワークを構築し、複数の世帯が接続を共有できるようにすることは有望なアイデアの一つだ。
先頃、Gatesはラスベガスで開催されたConsumer Electronics Showで基調講演を行った。CNET News.comはその前夜にインタビューを行い、同社のコンシューマ戦略、エンターテインメント技術の融合、そして彼がまだBlogを始めていない理由について話を聞いた。
--IT業界はもう何年も融合の話をしています。第一世代の製品は登場しましたが、この後はどうなるのでしょうか。相互運用性--これが次の課題ですか。
融合の分野ではさまざまな取り組みが進んでいます。当社の融合戦略の中核を占めているのは「Media Center PC」です。リモコン操作だけで、最高品質のテレビ、音楽、写真はもちろん、PCもフル活用できるというのがMedia Centerのアイデアです。Media Center用に魅力的な製品やサービスを開発してくれるパートナー企業もどんどん増えています。明日の基調講演ではDiscovery Channel関連のデモをお見せするつもりです。MTVとも新たな関係を結びました。MTVは当社の著作権管理技術とフォーマットを使って、Media Centerにコンテンツを配信しています。
このように、パートナーの面からみても、ハードウェアの面からみても、われわれの活動には勢いがついてきました。Media Center PCの価格も大幅に下がりました。この年末商戦でMedia Center PCの売上が倍増した理由の1つはここにあります。Philipsやその他のメーカーからも、Media Center PC対応のリモコンが発売されました。
エコシステムが完成すると、このシステムを導入し、カスタマイズを始める人々が出てきます。そして口コミが始まる。われわれは融合市場で当社の製品が占めている位置と、それを取り巻く環境に満足しています。
--こうした変化はエンターテインメント産業やメディア産業にどんな影響を与えるのでしょうか。たとえば、広告主が受ける影響は大きいように思えますが。
われわれは広告主にとって非常に価値のあるもの--「ターゲット広告」を実現することができます。これは、われわれがIPTV(Internet Protocol television)で取り組んできたことです。この技術はSBC Communicationsなど、すでに複数の企業で採用されていますが、最近はBellSouthが新たにパートナーに加わりました。このインフラを利用すれば、同じ番組を観ている消費者の画面に、それぞれに合った広告を個別に表示できるようになります。
ターゲット広告には2つのメリットがあります。1つは、対象者が広告をスキップする確率が低いということ。そしてもっと重要なのは、対象者が実際に行動を起こす--つまり、購入に至る可能性が高いということです。
この新しいテレビインフラは、きわめて効果的なターゲット広告を実現するものとなるでしょう。広告の形は変わりつつあります。検索市場でも、広告主の協力のもと、さまざまな先進的な取り組みが行われています。状況が変化しないはずはありません。
--こうした変化は、Microsoftにとって何を意味するのでしょうか。Microsoftはコンテンツ販売会社のようになりつつあるのですか。
昨年の年末商戦では、Xbox用ゲーム「Halo 2」が爆発的な売れ行きを記録しました。Halo 2はこれまでに630万本を売り上げ、オンラインでの累計プレイ時間は6900万時間に及んでいます。では、Microsoftはコンテンツ企業なのでしょうか。たとえば「Master and Commander」という映画あります。感動的なストーリーに涙したという感想をよく聞きますが、これはコンテンツであると同時に、ソフトウェアでもあります。
今も昔も、両者の境界ははっきりとしません。Microsoftの第一の役割は、プラットフォームとツールを提供することです。それ以外のものは、MTVなどのコンテンツ企業と提携することによって、各社が得意とするものを提供してもらえばいい。われわれが一からコンテンツを開発する必要があるのは、基本的に双方向性が必要とされる分野だけです。
--この1年の特筆すべき出来事といえばBlogの広がりです。Blogの成長ぶりには、あなたも驚いたのでは。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス