本気でパワードスーツづくりに励むアラスカの青年 - (page 2)

John Borland (CNET News.com)2004年12月28日 16時21分

 このパワードスーツは、中央のコックピットに乗り込んだ操縦者が、自らの身体を動かすことでコントロールする仕組みになる予定だ。たとえば、操縦者が歩くとメカも歩くといった具合だが、動きのバリエーションは46種類計画されている。

 Owensは資金的な余裕がないため、パワードスーツの動きを制御するのに赤外線センサや電子機器のような最新鋭装置を使ことはできず、代わりに油圧システムを使って手足の動きをフレームに伝達するようにし、またメカの背中の部分に積んだガソリンエンジンで必要な動力を作り出すようにするという。このエンジンは約250気圧--つまり1.5トンにもなるこの巨体を十分動かせるエネルギーを生み出せると同氏は説明する。

 最も注意を要する問題の1つはバランスを取ることだ。すさまじい破壊力を秘めた巨大ロボットでも、一度転んだら起きられないのでは何の役にも立たない。そこで同氏は、メカの下半身の重量が上半身のそれを大きく上回るように確実を期したほか、他の部分にも設計上の手直しを加えたという。

 同氏はこのプロジェクトに合わせて1万5000ドルを投じている。これは、破壊(少なくとも火を噴いたり、車を破壊する力は秘めている)マシンとして考えれば悪くない出費だ。

 ちなみに、米軍は国防総省国防高等研究事業局(DARPA)を通じ、実戦で着用可能な小型軽量パワードスーツの研究費として5000万ドルを投じている。

 DARPAは、2000年にEHPA(Exoskeletons for Human Performance Augmentation)プログラムを立ち上げて以来、「Starship Troopers」に着想を得たアイデアの実現に取り組んできている。

 DARPAのウェブサイトには、「この技術により、1人の兵士が作戦に携行できる物量や作戦行動範囲が拡大し、短距離移動作戦や特殊任務における地上部隊の殺傷力や生存率が高まる」と説明している

 今年はじめには、カリフォルニア大学バークレー校の研究チームがDARPA研究の初めての成果として、BLEEX(Berkeley Lower Extremity Exoskeleton)システムを公開した。これは、足の補強具に大型のバックパックを組み合わせたような外観となっており、ユーザーがこれを利用して、非常に重い荷物を軽々持ち運ぶことができたり、筋肉に萎縮や損傷のある人が普通に歩行するのを支援できるようになっている。

 さしあたって、Owensは巨大ロボットに車を破壊させたり、同様のマシン同士を対戦させるといったエンターテイメント的な価値の方に興味を示している。同氏はこれが動く--依然として予断を許さないが--との前提で、さらなる資金調達を行い、その資金を使ってメカの数を増やしたり、最新鋭の材料を使った本格的なメカを開発したいと考えている。

 Owensの元英語教師であり、夫婦で地元のサーキットを共同所有するKaren Lackeyは、合体メカが完成した暁にはぜひOwensにその成果を披露させてやりたいと言う。鋼鉄の巨大マシンがサーキットを歩きまわり、手から火を出して車を破壊する光景は絶対にビジネスになる、と同氏は話す。

 「かなり一般受けすると思う。レースだけではこの商売はうまくいかない。マニアは通ってくるが、普通の人々は何か新しくて変わったものを探し求めている」(Lackey)

 Owensは、自分のつくるツールが戦車の代わりに実戦に投入されたり、猛威をふるう山火事の中心部に投入されて消防士を救出するような日が来ると予想している。しかし今のところは、自分が操縦するパワードスーツにまず最初の数歩を踏み出させる必要がある。同氏は、命運をかけたこのテストを数カ月以内に成功させたいと考えている。

 「全くゼロの状態から革新的なものを発明しようとしている。すべてがスムーズに運んでくれることを願っている。これをレース場に持ち込むときには、3000人以上の観客が来ているだろう。とにかく恥だけはかかないようにしたい」(Owens)

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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