世界最大の小売チェーン米Wal-Mart Storesへの大口納入業者のおかげで、RFIDシステムの売上が大きく伸びている。Wal-Martが大口納入業者に対し、来年1月までに同社が設定したRFIDに関する基準を満たすよう求めていることから、業者らが競って同基準への準拠に取り組んでいるためだ。
Gillette、Kraft Foods、Procter & Gambleなどの大手消費財メーカーが今年、RFIDタグおよび関連装置に費やした費用の総額がおよそ2億5000万ドルに達したことが、調査会社AMR Researchの最新の調査結果から明らかになった。現在、Wal-Martに商品を納入しているおよそ140社が、同社のRFID指令に従おうと努力しており、GilletteやKraft Foodsなどもその中に含まれている。
Wal-Martは昨年発表した指令のなかで、ダラス地区にある同社の倉庫や店舗に向けて来年1月以降に輸送される商品にはRFIDタグを取り付けるよう、大口納入業者に義務付けている。同タグには特別なマイクロチップが埋め込まれており、荷物やコンテナの中身についての詳細な情報がコンピュータに自動送信される仕組みになっている。この技術により、バーコードによる在庫追跡に伴う手作業や人為的ミスが大幅に減少すると期待されている。
「Wal-Martは小売業界の発展を一手に担っている」と語るのは、AMRのアナリストで、今回の最新の報告書を作成したKara Romanowだ。
Romanowによると、AlbertsonsやBest Buy、Target、英Tescoなど、Wal-Mart以外のいくつかの大手小売業者も、納入業者と共同のRFIDプロジェクトを立ち上げているという。また米国防総省と食品医薬品局も各企業に対し、RFID技術の導入を促している。
しかし、RFID導入の動きを先導しているのはそれらの政府機関ではなく、Wal-Martのようだ。同社のRFIDプロジェクトにより、米小売業界が今年RFID装置に費やした費用の総額は前年と比べて2倍以上に増加すると見られる。市場調査会社IDCの概算によると、米国の小売業者および納入業者が昨年、RFID技術に費やした費用の総額はわずか9000万ドルほどだったという。
Romanowによると、このRFIDブームの恩恵を最も受けているのは、Intermec TechnologiesやMatrics(Symbol Technologiesの1部門)、Alien Technologyなどのハードウェア供給業者だという。Hewlett-Packard、IBM、Microsoft、Sun Microsystems、SAPといったコンサルタント/ソフトウェア企業も少しでもこの動きの恩恵にあずかろうと狙っている。
しかし、他の小売業者もRFIDタグの導入を検討しており、またWal-MartもRFID計画の規模を拡大しつつあることを考えると、今年のRFID関連費用の総額は、今後と比べて極めて小額である、とRomanowは語る。Wal-MartはRFID関連費用として、向こう数年間におよそ30億ドルの予算を計上すると見られている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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