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陽はまた昇る--2004年日本(後編) - (page 2)

Michael Kanellos(CNET News.com)2004年12月28日 10時00分
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少子化の問題

 日本では「デイケア」(保育所)の概念がほとんど浸透していない、と企業幹部や社員らはいう。子供を産んだ女性は実家の近くに住まなければならない。祖父母に子供の面倒を見てもらうためだ。それができない女性の多くは仕事を辞めることになる。このような理由により、日本の女性は家族を持つ時期を遅らせるようになり、生む子供の数も少なくなっている。結果として、日本の少子化と高齢化はさらに加速する。

 日本政府の統計によれば、2003年の出生率は女性1人当たり1.29人だった。現在の日本の人口は1億2700万人だが、2050年には1億人に減少すると見られている。国連経済社会局人口部のデータによれば、世界人口は同期間に61億人から90億人に増えるという。

 「人口は最大の問題といえるかもしれない。日本の人口は減り続けている」と原岡は指摘する。

 ハイテク産業にとって、これは科学者と技術者が十分に供給されないことを意味する。NECなどの企業は人材不足に対処するために、ロシアや韓国から採用する技術者の数を増やしはじめている。

 文部科学省は年刊の技術報告書のなかで、「ITや生命科学などの先端技術及び学際的な分野では、日本は先導的な役割を担うどころか、米国に対して守勢を強いられている」と述べている。「今後、社会が高齢化・少子化に向かうことを考えると・・・科学技術の領域に優秀な人材を引き寄せることは急務である」

 労働人口に新たに加わる技術者と科学者の数が減少している原因としては、さまざまな理由が考えられる。そして、その多くは米国や西欧諸国にとってもお馴染みのものだ。今も昔も、理工系の学部は学業面での負担が大きく、必然的に、学生にとって魅力的な選択肢となりにくい。卒業後の収入を比較しても、ビジネス系学部の卒業生、特に修士号取得者の年収は、技術系学部の卒業生の年収を上回ることが少なくない。

教育の問題

 しかし、日本企業の幹部は学校制度にも非があるという。20年前の子供たちは反復や暗記を重視したカリキュラムのもとで、幼い頃から大量の計算問題や練習問題を解かされた。ところが、日本の教育機関はその後、創造性--つまり芸術や問題解決能力を重視するようなった。この結果、子供たちは自然科学に興味を持たなくなったというのだ。

 「我々は子供たちの能力を伸ばし、その興味を引くことができなくなっている」と東芝ディスプレイ・部品材料統括技師長の上野文雄はいう。上野自身は、MP3プレイヤーや携帯機器用の小型燃料電池の開発者として知られる優秀な技術者だ。「ドットコム・バブルの時代に、人々は株式市場で大もうけできることを知った」(上野)

 大学と民間企業の連携を強化し、Sun MicrosystemsやGoogleを生み出したような米国型の産学パイプラインを構築するべきだという意見もある。

 「大学の研究に資金を提供している企業もあるが、欧米や台湾のように仕組みとして定着しているわけではない」とDSK Associatesのコンサルタント、Douglas Sparksは指摘する。Sparksによれば、国立台湾大学はこの3年間で教員数をほぼ倍増させ、台湾の巨大IT企業の名を冠した複数の建物を建設したという。

 日本企業は社内の技術者にもっと配慮しなければならないことも理解している。富士通は技術者のキャリアの選択肢を広げるプログラムを計画中だ。たとえば、技術者が管理職にならなくても昇級・昇進できる道を用意し、技術者の専門能力を最大限に活用できるようにするという。

 ここでもまた、欧米式の経営方針が、きわめてシリコンバレー的な--つまり、世界に先駆けて次世代技術を開発するという形で働いている。

 「米国ではアメリカンドリームを実現した技術者の話をよく聞く。しかし、日本ではそう多くはない」(山中)

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