Lenovoの次期CEO、今後を語る - (page 2)

John G. Spooner(CNET News.com)2004年12月16日 10時00分

--今回の買収で、IBMの社員や顧客にはどのような影響がありますか。

 顧客への影響という点については、あまり心配していません。Lenovoはアジア、特に中国での小売り販売(4000店舗を展開)と小企業向け市場で圧倒的なシェアを握っています。大企業の顧客もいますが、中心となる顧客は個人と小企業です。一方、IBMは個人と小企業にはあまり強くない。従って顧客を奪い合うことはありません。また、Lenovoはアジア以外でビジネスを展開していないので、アジア以外の地域で両者が競合することはありません。

 中国IBMには、販売、マーケティング、マネージメント、研究開発、バックオフィス、財務など、製造部門を除いた各部門を合わせて200人の社員がいますが、Lenovoには基本的に中国以外に社員はいません。

 米国での人員統合は非常に簡単です。IBMの現在の社員がそのまま米国Lenovoの社員になります。日本でもIBMの社員がそのままLenovoの社員になります。つまり、実質的な人員統合は発生しないということです。

--両社の製造部門はどうなりますか。

 IBMにはIIPC(International Information Products Company)という製造部門があり、Lenovoにも製造部門はあります。両社とも、それぞれ自社製品を自社の製造部門で生産しています。Lenovoには500万台、IBMには1000万台以上の生産能力があります。

 IBMの競合他社が、今回の買収でIBMの顧客を奪おうとありとあらゆるFUD(不安、不確かさ、疑念)を言いふらすのは、彼らが製造部門を持たないからです。彼らがやっているのは単なる組み立てです。IBMの競合企業でノートPCを自社生産しているところはありません。彼らはすべての部品をODM(Original Design Manufacturer:基本的にサードパーティ企業による設計製造のこと)から調達し、それを世界各国の「工場」で組み立てているだけです。

 現在IBMが所有しており、今後はLenovoが所有することになるIIPCは、今回設立される新会社のサプライヤの1つになると考えてください。Lenovoの製造部門もやはり、新会社のサプライヤになります。他のODM企業もサプライヤになる可能性があります。ですから、製造部門の統合は極めて単純です。

 難しいのは、購買の窓口を一本化することです。IBMとLenovoがIntelやMicrosoftに対してそれぞれ独自に行ってきた購買活動を1つにまとめる必要があります。これは難しい仕事ですがメリットもあります。Intel社長のPaul Otelliniと、Microsoftには既に話をしました。他の主要サプライヤとも話をするつもりです。彼らはこの話を積極的にとらえています。彼らにとって大きな成長の機会ですし、もちろん、業績も向上しますから。

--さしあたって、LenovoとIBMの2つのブランドの位置づけはどうなりますか。

 2つのブランドが競合するとしても、それは中国国内だけの話です。Lenovoは米国をはじめとする諸外国ではビジネスを展開していません。ですから、IBMブランドはそのまま存続します。ThinkPadブランドについても存続します。中国では、IBMおよびThinkPadブランドと、Lenovoブランドが存続します。IBMおよびThinkPadがハイエンドの企業市場向け、Lenovoが中小企業向けという位置づけになります。もちろん、企業向けの市場で両社が競合している部分もありますが、それについては最終合意までに解決する予定です。

 この点を解決しておくことは重要です。先ほども言いましたが、IBMは中国市場での地位を失いたくありません。中国市場において、ノートPCではIBMブランドが、デスクトップPCではLenovoブランドがそれぞれトップの座を確保するようになると考えてください。IBMは大企業が、Lenovoは中小企業と個人ユーザーが主要な顧客になります。

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