VCとベンチャー企業の良い関係とは - (page 2)

永井美智子(CNET Japan編集部)2004年12月13日 10時00分

VCを活用する前に長期的な展望を持つべし

山岸:若手の起業家のなかには、VCからの資本を入れていない企業も数多くあると思います。こういった起業家に対するアドバイスをお願いします。

西川:グローバルメディアオンラインの熊谷さんが「起業家にとって株式は血である」とおっしゃっていましたが、そのくらい大事なものだと思います。そこに新しい資本を入れるということは、新しい血を足すということです。

 VCの活用法について絶対的な方程式はありません。ただ、今日本にはだぶついた資金がたくさんあって、その一部はベンチャーにも流れてきている。そういう資金を使いこなす情熱をまずは持って欲しいですね。

近藤:資金というのは経営資源の1つですから、VCを使う手もあれば、使わない手もあります。VCを選ぶ際には、ブレーンになるリードキャピタルを1つ選んで、ほかにもいくつかVCを迎えるのがいいと思います。上場を考えるならば、資金を使って企業を一気に大きくさせたほうがいい。勢いのある企業には注目が集まりますから。

本荘:株式を上場する予定ならば、IPO後の展開まで考えた上で公開前にどのように資金を入れるのかを考えるべきだと思います。ときどき、IPOまでしか目がいかずに「株式を公開するときに考える」というような経営者もいますが、やはり長期的なビジョンが必要です。

仮屋薗:ある程度収益モデルの固まっている企業であれば、次に問題になるのは組織をどうしていくか、経営が自律的に回って行くにはどうしたらいいかというような経営組織開発の部分ではないかと思います。それから、資本政策や上場後のストーリーですね。こういった問題を、経験を交えながら一緒に考えてくれるVCを探すのがいいのではないでしょうか。

 経営者が自分の欲しいものを明確に定義できれば、VCと話し合っていくなかでお互いの価値観や相性が分かると思います。企業側からも条件も出していって、相互に合意できればいいと思います。

近藤:VCというのはある程度リターンを得ないといけないわけですから、社債発行などに比べてコストは高くなります。それを差し引いてもプラスになると思うときにVCを入れるべきです。本当に株式を公開したいのかをまず考えた上で、アクセルを踏むにはVCが必要であるとか、一緒になって経営してもらいたいといったようなメリットを明確化すべきです。猫も杓子もVCを入れる時代ではないと思います。

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