2日目のキーノートでは、ベンチャー経営におけるベンチャーキャピタル(VC)の果たす役割について議論が行われた。シーネットネットワークスジャパンCNET Japan編集長の山岸広太郎がモデレータを務め、ジェネラル・アトランティック・パートナーズ日本代表の本荘修二氏、日興アントファクトリー ヴァイスプレジデントの近藤Nick直樹氏、グロービス・キャピタル・パートナーズ パートナーの仮屋薗聡一氏、ネットエイジグループ代表取締役社長の西川潔氏の4名が登壇した。
埼玉大学非常勤講師。東京大学工学部卒、ペンシルベニア大経営学修士。ボストン・コンサルティング・グループ、米国コンピューター・サイエンス・コーポレーション、CSK/セガ・グループなどを経て現職。著書に「成長を創造する経営:シスコシステムズ」(ダイヤモンド社)、「IT情報の虚と実」(アスペクト)などがある。日経ネット時評、ダイヤモンドLOOP等への寄稿多数。
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米国法律事務所を経て、日米のベンチャー企業の副社長、取締役COOを歴任。2001年アントファクトリージャパンに参画、経営企画担当ヴァイスプレジデントに就任。メディア、コミュニケーション、IT、リテールセクターでプライベート・エクイティ(PE)/VC投資を手がける。国内外の業界団体、ビジネススクール等でPE/VC、経営戦略などについて精力的に講義を行うほか、日本ベンチャーキャピタル協会の講師も務める。米ジョージタウン大学ビジネススクール、米アメリカン大学ロースクール卒。ニューヨーク州弁護士・米国法学博士。
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三和総合研究所でのコンサルティング、グロービスのベンチャーキャピタル事業設立を経て、1999年よりエイパックス・グロービス・パートナーズ(現:グロービス・キャピタル・パートナーズ)にてメディア、インターネットサービス、エンタープライズアプリケーション関連の投資を担当。慶応義塾大学法学部卒、米国ピッツバーグ経営大学院修士課程修了(MBA)。担当先企業として、ネットエイジ、リアルコム、フィスコ、GDH、ベンチャー・リンク コミュニケーションズ、ワークスアプリケーションズ、ビズシーク等。
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KDD(現:KDDI)勤務を経て、アーサー・D・リトルの米国本社勤務時に起業を志す。帰国後、世界最大のインターネット企業、アメリカ・オンラインの日本法人の創立に参加。その経験・人脈を生かし、1998年2月、ネットビジネスインキュベータ−という、日本初の業態をもってネットエイジを創業。現在までに16のネットビジネスをスピンオフして育成。5つをM&Aで売却。「渋谷ビットバレー構想」などに代表される起業家経済の活性化のための提唱を行い、講演・執筆多数。東京大学教養学部卒。 |
山岸:まずは自己紹介も兼ねて、最近の投資動向や今後の注目業界について伺えますか。
仮屋薗:我々の場合、業界というよりも経営チームを見て投資するかどうかを決めています。最近注目しているのは企業のスピンオフ案件です。ほかにはビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)や業界特化型のASPにも注目しています。
本荘:ジェネラル・アトランティック・パートナーズは米国に本社を置く企業です。毎年新規案件を10件ほど、年間で500〜1000億円を投資しています。グローバルに投資を行っていることもあり、最近は中国やインドに注目しています。日本ではチップを中心とした組み込み系のハードウェアや、ブロードバンドや携帯電話関連の企業に注目しています。
近藤:インターネットは非常に経済合理性が高くて、"中抜き"をどんどん実現していく存在です。5年前に起きるだろうと予測していたものが今どんどん実現しています。そういう意味では、経済合理性を追求できるサービスやビジネスに注目しています。
西川:ネットエイジは自分たちで考えたものを自分たちで作り、スピンオフをして投資するという形式の投資先が約半分あります。もう半分はいろいろなところからお話をいただいて投資しているものです。基本的にはアーリーステージの企業でこれから伸びそうな、ポテンシャルの高い企業に投資を行っています。
山岸:ベンチャー企業の成長において、VCがもたらす価値というのはどういったものがあるのでしょうか。
近藤:米国のVCには事業経験のある人が多いですが、日本の場合は単なる営業マンになってしまっている人も多い。これでは勝ちに行く企業は作れないと思います。VCは企業を育てたり、ビジネスモデルを一緒に作ったりしていかないといけない。現在は新しいサービスがどんどん出てきていますから、これをどう収益化していくかというのを一緒にやっていく必要があると思います。
ベンチャーの中には、収益モデルをVCと一緒に考えればもっと伸びそうなところがたくさんあります。そういったところのお手伝いをしていきたいですね。
VCとベンチャーの関係は結婚のようなもの
山岸:VCが投資先を選ぶとき、最終的な決断をする前のデューディリジェンス(相手先の評価)にどの程度期間をかけるものでしょうか。
近藤:私の場合は即断即決というか、「時は金なり」という精神でやっていますね。
本荘:我々の場合は株式の持分がかなり大きくなりますので、じっくり相手を見ます。これは結婚のようなもので、お互いの方向性が合致しているかとか、価値観を分かち合えるかということを、"デート"をしながらお互いに見ていきますから、やはり2〜3カ月はかかってしまう。最近はあらかじめコミュニケーションが取れている企業に投資することも多いですね。
仮屋薗:我々の場合は、まず出して頂いた事業計画に対する議論を一緒に行うことが多いです。その中でお互いの方向性や相性が合ったときに投資をさせて頂きますから、2〜3カ月はかかります。ただ、投資するときには社外取締役を派遣するなど、3〜5年は腰を据えて一緒にやらせて頂きます。
西川:我々の場合は通常のVCと違ってずっと株式を保有することもありますから、ケース・バイ・ケースになります。
山岸:企業側はどうやって良いVCを選べばよいのでしょうか。
近藤:会えば分かると思いますが、VCにもいくつかのタイプがあります。金融系企業の子会社や独立系など、それぞれ戦略が違います。まずはビジネス経験のある人や業界で著名な人、誰かの推薦がある人などがいいと思います。それから自分の会社の置かれたステージや、相談したいポイントなどに合わせて選ぶのがいいでしょう。
仮屋薗:ベンチャーキャピタリストを社外取締役に招く場合は、ほかにも業界の重鎮の方などを2〜3人社外取締役として迎えるほうがいいと思います。外部のリソースをバランス良く迎えることで、うまくVCを活用できるようになるからです。
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