感謝祭からクリスマスにかけては、多くの人々が人間同士や国家間の理解が深まることを願うものだ。しかし、なかにはバッテリの性能向上だけを願う者もいる。
電子機器メーカー各社は、自社製品が1回の充電で利用できる時間を大幅に延長してきた。だが、消費者は相変わらずオーディオプレイヤーやノートPCなどの利用可能時間の短さに苦情を申し立てている。
「お金とスタイルとバッテリ寿命に対する要求はきりがない。どのメーカーもバッテリ寿命延長に力を入れているが、まだ相当の努力が必要だ」と、NPD TechworldアナリストのStephen Bakerは述べている。
いろいろな意味で、バッテリにはこれで十分ということがない。その一方で、数年前から導入されてきたディープスリープ、有機LEDスクリーン、速度自動調整型チップ、省エネソフトなどの技術は、消費電力を劇的に削減し、各種デバイスのバッテリ寿命を延長してきた。
その甲斐あってか、5年前は一般的にわずか2時間しかもたなかったノートPCのバッテリも、今では最大5時間以上保つようになった。
LogitechのMX 1000コードレスマウスなどは、電気を使う内部コンポーネントを事実上すべてチューニングしたことにより、フル充電で21日間利用し続けられる、と同社は語る。
Logitechの製品マーケティングディレクター、Ashish Aroraは、「コードレスマウス分野への参入当初に比べて約3倍長持ちする。これこそ、コードレスの使い勝手を決める最も重要な要因だ」と語った。
同社はその上で、バッテリ駆動式デバイスで一般的に歯がゆさを感じる部分の解消を目指した仕様も用意した。MX 1000コードレスマウスは、10分も充電器に置いておけば1日中使う分の充電が完了し、フル充電も3時間程度しかかからない。同社の調査では、バッテリ寿命を延長できるなら顧客は10ドル余分に出すという結果も出ている。
The Envisioneering GroupアナリストのRichard Dohertyは、「ほぼ例外なく、今年購入できるデバイスは昨年のものより10〜20%効率的になっている」と語った。たとえば、カラー画面を搭載したApple Computer最新のiPodは、初期の白黒バージョンよりも使える時間が長い、と同氏は語っている。
その一方で、さまざまなデバイスがさらに複雑化し、より多くの電力を必要とするようになっている。わずか4年前には凝りすぎた装備といえたワイヤレス接続機能や15インチスクリーンも、今ではノートPCの標準機能となっている。そして顧客の方も、メーカー側が要求に応えることを期待している。
VenCap Internationalの業務開発ディレクター、Allen Lattaは、「基本的に、iPod Miniを非常に気に入っている。だが、まず容量が不足していること、そしてバッテリの寿命が短いことが欠点だと思う。バッテリに関しては、1回の充電で8時間ではなく約6時間しか使えていない」と語った。
1990年代後半にノートPC周辺で本格的に始まった消費電力の削減努力は、業界全体にまで波及し、いまでは電子装置で使うほぼすべての部品に影響が及んでいる。
たとえば、2003年にはIntelがPentium Mを投入した。このノートPC用チップには、待機時間中に自動的に電源を切って消費電力を削減するトランジスタが組み込まれている。同社はまた、専門のエンジニアチームも編成し、バッテリのサプライヤーやハードディスクメーカーなどと協力して省エネ型の部品を開発している。
Intelは数年前、台湾のToppoly Optoelectronicsという会社に出資し、同社の技術を売り込み始めた。従来のノートPC用スクリーンは、光源の実質約4〜8%の光しか目に届かない。残りは、複数のフィルタや偏光レイヤを通過する際に消散してしまう。
Toppolyは、ピクセル上の絞りを広げて、より多くの光が通過できるようにする方法を考え出した。これは画面の動作に必要な電力の削減につながる。現在、Toppolyの技術を採用した薄型軽量ノートPCの画面は、電力を約3ワットしか消費しない。Trainorによると、2002年には同サイズのスクリーンで4〜5ワット必要だったという。
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