バッテリの性能向上も、ユーザーの願望には追い付かず - (page 2)

Michael Kanellos (CNET News.com)2004年11月30日 14時02分

 消費者もこうした進歩に気づいている、と同氏は語る。2000年にはバッテリ寿命に対する苦情が最も多く、消費者はノートPC購入時の検討事項上位5位以内にバッテリ寿命を入れていなかった。だが2003年になると、バッテリ寿命が選択基準の上位2位以内に入ってきた。

 バッテリメーカーも自社技術の改善を進めてきた。1990年には、リチウムイオンバッテリの供給できる電力量は1200ミリアンペア時間だった。だが現在は、同サイズのバッテリで2600ミリアンペア時間を実現している、とソニーのHameed Chaudhury(エネルギーコンポーネントグループ製品マーケティングマネジャー)は語り、1990年に最初にリチウムイオンバッテリを投入したのがソニーだったことを付け加えた。

 Chaudhuryは、「分子構造を変えることができれば、より多くの活物質を詰め込めるようになる。砂時計を想像するといい。砂が細かければ細かいほど多く詰め込める」と語っている。ソニーでは、活物質用のスペースを拡大できるよう、金属部品のサイズ縮小も進めてきた。

 一方、ゲル状のバッテリ素材で、携帯電話や携帯端末に効率的に装着できる形に成型可能なリチウムポリマーも、その性能と人気を上げている。なかには、リチウムポリマーに完全移行した電話機メーカーもある。

 「スリムな電話機が望まれている。10ミリも厚さのある電池は、もはや必要とされていない」(Chaudhury)

今後の課題

 だが、一方では問題も明らかになりつつある。まず、リチウムイオンの性能向上には先が見え始めているようだ。「リチウムイオンの性能向上は、2006年までに理論上の限界に達する」(Chaudhury)

 性能を継続的に向上させるため、デバイスメーカー各社はバッテリと、超伝導体(電気貯蔵用)や燃料電池などの各種技術との組み合わせを積極的に進めている。東芝は、MP3プレイヤーを20時間駆動できるとする燃料電池のプロトタイプを公開している。この製品は2006年にも登場する可能性があり、ラップトップPCやテレビ向けにさまざまな燃料電池が用意される。

 同社の上野文雄ディスプレイ・部品材料統括技師長は、「真のポータブルテレビが誕生する」と語った。

 企業各社は、それでも何とかバッテリの寿命延長に努めていくだろう、とChaudhuryは付け加えた。パイオニクスという別の日本企業では、リチウムイオンの高密度化技術に取り組んでいる。またZinc Matrix Powerでも、ノートPCの稼働時間を倍増できるとするアルカリ電池を2006年に投入する。

 ただ、それでも顧客が完全に満足することはないかもしれない。IDCのアナリスト、Roger Kayは、「(ノートPC内部の)構成部品は消費電力が増える傾向にある」とし、これによってバッテリの性能は相殺されてしまう、と語っている。

 その反面、Kayは自分のノートPCのバッテリが、背面に9セル内蔵バッテリを搭載し、DVDベイにリチウムポリマーバッテリを装着しているおかげで8時間近く持つことを明かした。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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