兵庫県は11月26日、カーネギーメロン大学情報大学院日本校の設立に向けて米カーネギーメロン大学との間で24日に基本契約を締結したことを発表した。2003年7月に同大との間で覚え書きを締結した内容について基本内容を定め、2005年秋学期の授業開始を目指す。
兵庫県 企画管理部 教育・情報局 情報セキュリティ課長の多田昌史氏 |
情報セキュリティ分野の意思決定や実務に向けた人材育成は、経済産業省が設定したITSS(ITスキル標準)でもふれられており、米国のセキュリティプロフェッショナル認定制度CISSP(Certified Information Systems Security Professional)も日本で展開されている。こうしたスキル認定制度との関係について、兵庫県 企画管理部 教育・情報局 情報セキュリティ課長の多田昌史氏は「国と同じことをしても独自色が出ない。自治体のやることとして特色を出そうと考えており、情報セキュリティ分野の底上げとはちがう取り組みをしたい」と設立の主旨を説明する。日本校は、本校の教学体系に基づいて情報セキュリティ技術と経営学、政策学を総合的に学ぶカリキュラムを編成する。
開学当初の募集定員は20名で、多田氏は「高度な人材を育成するために2〜3年はこの規模を維持し、その後軌道に乗れば30名などに定員を拡大したい」としている。キャンパスは神戸市中央区に置く。授業はカーネギーメロン大学の常駐教員による直接授業と遠隔授業、日本校専任教員による直接授業、日本校非常勤講師による独自科目で構成される。独自科目としてはソフトウェアの脆弱性の分析やセキュリティ監査、関連法規、脆弱性調査などを予定している。日本校独自の科目は選択科目とし、学位取得要件単位としない。日本校の専任教員の選考は兵庫県と本校で進めているが本校の要件が非常に厳しいといい、現在は武田圭史氏のみが決定している。
日本校ではカーネギーメロン大学の修士学位MSIT-IS(Master of Science in Information Technology-Information Security)を取得できる。MSIT-ISは、カーネギーメロン大学のMSISTMとMSISPMなどをベースとしたもの。現在は日本国内の修士号との読み替え制度は存在しないが、外国大学の正規校が授与した学位は文部科学大臣管轄下の高等教育機関が授与した学位と同様の扱いをする方向で国の検討が進んでおり、これが日本校の追い風になると兵庫県は期待している。
授業はすべて英語で行われるため、生徒には一定程度の英語力が求められる。この点について、多田氏は「英語力が多少足りなくても、入学希望者本人の意欲や経験などで授業内容にたえられる能力があることを証明できれば受講可能だろう。入学の可否は総合力で判断したい」と説明する。日本校では授業内容について日本語での補講を設定している。
出願条件としては、(1)学士号を取得し、QPAが3.0以上であること、(2)学部過程でソフトウェアのデータ構造と確率論を履修していること、(3)IT業界等で2年以上の勤務経験があればなお可、(4)本校レベルの英語力を有すること、の4点が挙げられている。しかし、学部過程でこうした科目を履修していなくても実務で同様の内容を学び取っていれば出願可能といい、カーネギーメロン大学と兵庫県は実務に根ざした問題意識を持つ学生を募っている。当初の入学者としては主に企業や自治体などからの派遣留学を想定しており、派遣企業などから提案された課題の共同研究などを進める「プロジェクト」が修了要件単位として設定されている。
受験料は55ドル。入学金は不要で、授業料として学期ごとに1万5750ドル(最短4学期で修了)、技術料として学期ごとに100ドルが必要。このほかに教材費が実費で必要となる。授業料などはすべて本校と同額。
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