カリフォルニア大学バークレー校(UCB)の研究者グループが米国時間19日、米大統領選でフロリダ州の有権者が取った投票行動に見られる異常についての統計分析を発表した。その結果、同州のBush大統領への投票数は13万〜26万票にも上っていたことが分かった。
UCBの4人の研究者が作成した同報告書では、11月2日に行なわれた米大統領選のフロリダ州の開票結果と、同州の過去の傾向、人種的要因、郡の大きさといった様々な要因との統計的関連性が分析されている。その分析から、統計的に、登録されている民主党員の人数が多い郡ほど、より多くの有権者が電子投票システムを使ってBush大統領に投票していたことが分かった。
同グループによると、この分析結果は、票の集計に何らかの誤りがあったことの証明にはならないが、Bush大統領とKerry候補との得票差と票集計機の種類との間に関連性があることを示しているという。
研究者らは報告書の中で、「紙の投票記録が存在しない以上、電子投票システムを利用した選挙区の統計的比較だけが、同システムをめぐる様々な問題を解明する上で利用可能な唯一の手段だ」と述べている。
同報告書を執筆したのは、UCBの社会学教授、Michael Houtと3人の研究者だ。Hout教授らの分析から、電子投票システムとBush大統領の得票数との間に統計的関連性があることが分かった。大統領の得票数は13万〜26万票に上ったと見られる。この件について、Hout教授から直ちにコメントを得ることはできなかった。
11月2日以降、電子投票システムに関するいくつかの問題が浮上したが、選挙結果に影響を与えるほどの大問題とされた例は今のところない。フロリダ州務長官のウェブサイトによると、Bush大統領は38万票差で同州を制したという。
しかしこの結果に対し、多くの自由主義団体が異議を唱えている。例えば、フロリダ州の選挙結果に見られる不可解な統計的異常を最初に明らかにしたのは、USTogether.orgだった。同団体が行ったフロリダ州の投票結果の分析から、共和党員が実際に獲得した票数が、登録されている共和党員数から弾き出された予想をはるかに上回っていた投票所では、光スキャン方式の投票機が使用されていたことが分かった。
しかし、ハーバード大学、スタンフォード大学、コーネル大学の政治学教授は、選挙結果に対する懐疑的見方を重要視していない。教授らによると、光スキャン方式の投票システムが使用されたのは主に農村郡であり、それらの郡では過去4度の大統領選でも、登録済民主党員が共和党に投票してきたという。
コーネル大学の政治学教授、Walter Mebaneは、「(選挙結果に対する)疑惑は根拠を欠いているというのが、われわれの結論だ」と述べている。
しかし、11月の予備選挙までの選挙データの詳細な分析を発表したプリンストン大学の分子生物学助教授のSamuel Wangは、今回の分析は、過去のものとは異なり、フロリダ州の投票者の統計的に不可解な行動の説明として信憑性があると確信している、と語った。
WangはCNET News.com宛のメールの中で、「私には、すぐに陰謀説を唱える癖はない」と述べ、さらに次のように続けた。「例えば、オハイオ州についての疑惑は誤りだと思うし、出口調査に基づく説もかなり的外れだと考えている。しかし、UCBの研究グループが示した証拠には、これまでのものより説得力がある。」
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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