MicrosoftのBill Gatesは米国時間16日、自社のコンピュータ管理ソフトに関する計画の詳細を明らかにし、待望のWindowsアップデートツールを発表した。
Gatesは、デンマークのコペンハーゲンで開かれたIT Forumの基調講演に登場し、同社が進めるDynamic Systems Initiative(DSI)の概要を明らかにした。DSIは、企業のデータセンターにおける管理コスト削減に向けたMicrosoftの野心的取り組み。
IT ForumはMicrosoftが主催する欧州最大のカンファレンスで、約4000人のコンピュータシステム管理者が参加すると見られている。
Microsoftはまた、システム管理関連製品のアップデートも発表したが、このなかにはWindowsアップデートサービスの初めての公開テスト版も含まれている。
DSIは、Microsoftが複数年にわたって進めている計画で、企業ネットワークを管理するシステム運用担当者の生産性向上を目的とするもの。管理ツールが向上すれば、管理者はサーバのアップデート作業などをもっと多く、しかもいっそう素早くこなせるようになる。
システム運用の改善は、Microsoftの業務ソフト部門にとって最優先課題となっている。同社の幹部らは、IT予算の大部分が新しい業務アプリケーションの開発ではなく、既存システムの運用に費やされていると指摘する。
Microsoftは、システム管理ソフト市場でIBMやHewlett-Packard(HP)などの企業と競合している。
MicrosoftがDSI関連で初めて投入する製品は、Visual Studio 2005になる。これはプログラミングツールのフラグシップ製品で来年リリースされる。開発者はこの製品を使うことで、クラッシュやパフォーマンス低下の可能性が低いアプリケーションを開発できるようになる、とMicrosoftは主張する。
MicrosoftのDavid Hamilton(Windowsおよびエンタープライズ管理製品部門ディレクター)によると、Gatesは基調講演のなかで、DSIの長期的なビジョンを示し、自社が追求する管理ツールの改善内容について語ったという。
Hamiltonは、今後登場するMicrosoftの管理製品、すなわちSystems Management Server(SMS)とMicrosoft Operations Manager(MOM)は、Microsoftが定義した「モデル」を追跡することで、データセンターの各種コンポーネントを監視できるようになると述べている。同氏によると、これらのモデルには、アプリケーションの調子、コンフィギュレーション、実行すべきタスクが記述されているという。
プログラマーは、来年前半発売予定のVisual Studio 2005 Team Systemに含まれるモデリングツールを使って、こうしたモデルを定義できるようになる。同製品では、たとえば開発者が電子メールアプリケーションは4台のサーバ上で動作する必要があるなどと指定すると、予想される需要に対応して一定量の帯域幅を確保できるという。
「モデルは、アプリケーションの計測管理をリアルタイムで追跡するための手段だ。適切なモデルを用意することが絶対条件だ」(Hamilton)
Gatesはさらに、Axaltoと呼ばれる会社の新しいスマートカードにも言及した。このスマートカードは、Microsoftの開発ツールを使ってプログラミングすることができ、同社の現行のActive DirectoryやIdentity Integration Serverソフトと併用し、企業ネットワークへのログイン時に使うセキュリティ機構として利用できる。
Hamiltonは、DSIの長期計画を示すことで開発者やシステム運用担当者にこれから登場するMicrosoft製品に親しんでもらうとともに、Microsoftのシステム管理ソフト用にアドオンを開発するサードパーティー企業の獲得を期待している、という同社の考えを明らかにした。
Microsoftはこのイベントで、Windows Update Serviceの大規模なベータテスト・プログラムを同社が開始していることも明らかにした。これはWindows用パッチを送信するためのものだ。また、Microsoft Operations Manager 2005とVirtual Server 2005が全世界で発売になっていることも発表した。
Microsoftはまた、SMS 2003を使って大規模なデスクトップ導入を簡易化したり、Windowsベースの携帯端末へソフトウェアをインストールするための追加機能をリリースした。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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