日立ソフトウェアエンジニアリングは11月16日、BREW 3.1プラットフォームに対応した携帯電話向けGUI開発ツール「anyWarp for BREW」を発表した。同社はQualcommとの提携の下、これまでQualcommが携帯電話キャリアやメーカーに対してのみ提供していたBREW 3.1やBREW UI Toolkit(BREWアプリケーションのインターフェース作成におけるサポートツール)の技術情報をSIerとして初めて手に入れ、同製品の開発を行ったという。
anyWarp for BREWには、日立ソフトが米国にてミネソタ大学と共同で特許を取得したVisual Screen Flowと呼ばれる機能が搭載されている。これは、GUIの部品や画面、プロセス、分岐などをつないだビジュアルプログラムのフローチャート(スクリーンフロー)からソースコードを出力する機能。これまでの携帯電話ソフト開発では、スクリーンフローの提案書を作成し、承認が取れると手作業でコーディングを行っていた。しかし、ワープロ画面で提示されたスクリーンフローと実際の操作感が違えば、仕様が変更されることもあり、その都度開発者はコードを書き直さなければならない。「anyWarp for BREWを使えば、開発に取りかかる前にスクリーンフローがリアルに確認でき、しかもコードが自動生成されるため、変更があった場合も迅速な対応が可能になる」と、日立ソフト 第2開発本部 第1設計部 主任技師の澤幡知晴氏は同ツールを利用するメリットについて語った。
日立ソフト 第2開発本部 第1設計部 主任技師 澤幡知晴氏 |
また澤幡氏は、現在のBREWの市場について、「2.1や3.0など、これまでのBREWは、主にゲームや着信メロディといったダウンロードアプリケーション用のプラットフォームとされていたが、BREW 3.1では電話帳やメールソフトなどすべてのアプリケーションが対象となり、携帯電話の組み込みソフト用プラットフォームとなることが特徴だ」としている。このようにBREWアプリケーションが増加傾向にあるなかでanyWarp for BREWを利用することにより、組み込みソフトの開発工程の期間短縮に貢献するという。
anyWarp for BREWは、Qualcommから提供される開発キットQualcomm BREW 3.0/3.1 SDKおよびBREW UI Toolkit Extentionと共に利用する。これらの開発キットのみを利用した場合と、anyWarp for BREWを併用した場合の開発期間にどの程度の差が出るのかについては、「今後評価版を配布し、実感してもらう。コードが自動生成されることからも、開発期間が短縮されることは間違いないだろう」(日立ソフト 営業技術本部 アライアンス第1部 第3グループ 技師 橋本隆司氏)としている。
anyWarp for BREWは17日より販売開始する。出荷は2005年1月から。価格はオープンで、同社では「利用形態、本数などによって個別対応となる」としているが、「サブスクリプション形式でのライセンス提供も想定しており、一番安い価格帯で1ライセンスあたり100万円弱となる予定」という。
日立ソフトでは、これまでにも通信事業者や端末メーカーなどにBREW関連技術の開発支援を行ってきた。今回発表したツールを軸に、アプリケーション開発やコンサルティング事業を受託し、初年度5億円の売上を目指すとしている。
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