トレーニングツール市場で攻勢をかけるマクロメディア

 企業が新たなツールを導入する際や新たなプロジェクトを実行する際などに短期間で確実に成果をあげるためのトレーニング環境の整備が注目を集めている。

 マクロメディアは、そうしたトレーニングの市場で攻勢をかける。同社は、Macromedia Flashをはじめとするインタラクティブなウェブページを作成するためのツールで知られる企業だが、保有する技術を最大限に生かし、ウェブベースのトレーニングシステム市場へ向けて戦略を強化する。「Macromedia Captivate」と名付けられた新製品の魅力と期待される導入効果について、Product Managerのシルカ・フライシャー氏に話を聞いた。

--今回リリースされたMacromedia Captivateの概要について聞かせてください。

 Macromedia Captivateは、従来「Macromedia RoboDemo」という名称で販売されていた製品です。これは、マクロメディアが買収した米eHelpの製品で、各種アプリケーションの動きを記録し、Flashムービーを作成します。そこに、実際に操作できるような視覚や音響の効果を付けたり、文字キャプションを追加したりすることで、インタラクティブなトレーニングツールが完成するというものでした。

 Macromedia Captivateは、それをより使いやすく、より効果的なトレーニングを行えるように進化させた製品です。全体的な操作性の向上をはじめ、タイムテーブルを用いて時間の概念を取り入れるようになったことが大きな変化です。プログラミングに精通していなくても魅力的なコンテンツを作れるという意味でCaptive(魅了する)と名付けられました。

--こうした製品を発売する背景にある、トレーニングへのニーズの高まりをどのように捉えているのでしょうか。

 RoboDemoは、Eラーニングの市場で高いシェアを誇る製品でした。現在、Eラーニングコンテンツではシミュレーションを活用したいというニーズが非常に高まっており、今後はさらにその傾向が強くなると見られています。

 例えば、新たなアプリケーションを導入したり、使用方法を変更したりする場合など、ユーザーに早急なトレーニングが必要となります。しかし、トレーニングのためにインタラクティブに操作できる学習ツールやデモツールを制作するには、非常に手間がかかっていたのが実情でした。

 Captivateは、実際に画面をキャプチャすれば自動的にコメントが付加されますし、さらに音声やビデオなども加えながら編集できます。PowerPointを使える程度の知識があれば、専門知識を持たないユーザーでも簡単にトレーニングツールを作成できるのです。誰もができるということは、専任の人材を用意する必要がなくなり、従業員の業務効率の向上を図るための経費を削減できるようになります。このため、市場は今後も拡大していくものと見ています。

--トレーニングツールの作成時の操作性や作成後のアウトプットについては、どのようにお考えでしょうか。

 作成時についてですが、デモやトレーニングに取り込めるファイルは、画像や音声、映像と非常に幅広く、インタラクティブなものが簡単に作成できます。それらの編集も、基本的にはドラッグ・アンド・ドロップの操作で行えますし、キャプチャ画面に付加する音声の編集なども、Captivate上から手軽に行えます。また、Captivateは、LMS(Learning Management System)とも業界標準に即した形式で連携できるようになっており、各従業員の進捗状況の確認なども容易に行えます。

 出力できるフォーマットは、Flashコンテンツのほかにも印刷用にドキュメント形式で出力できるほか、ウェブサイトにアップするためのFTP機能を備えています。さらに、作成したコンテンツは、Macromedia Breezeと連携させてウェブミーティングに使用したり、オーサリングツールMacromedia Flashを用いてより魅力的なコンテンツへと進化させたりすることが可能です。

--米国ではすでに発売されていますが、その評価はいかがでしょうか。

 発売から日が浅いので、まだ製品版の評価という点では情報が集まっていません。しかし、βバージョンを試した企業の多くからは高い評価を受けていますし、以前のRoboDemoを導入している企業は多数存在します。

 また、Captivate(RoboDemo)は、多様な企業のニーズに対応できる点も特徴です。大規模な企業が導入したケースでは、これまで1カ月に1つしか作れなかったトレーニング教材を同期間で5本作れるようになったことで、大幅なコストダウンを実現できました。一方、従業員数が十数名程度の企業がRoboDemoを使ってウェブヘルプデスクを作成した結果、顧客の大幅な増加につながったというケースも存在します。

 しかも、後者のケースでは、その後も一切人員の増員は必要ありませんでした。インタラクティブでわかりやすいウェブヘルプデスクによって、顧客からの問い合わせが少なくなったほか、顧客満足度を高めることができたのです。

 日本市場でもウェブベースのトレーニングツールの需要は確実に増大していくと見てみます。まだ、現状で市場規模はアジア全体で米国の10%と小さなものですが、今後はより大きなものになると期待しています。

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