主力IT関連企業の株価が低迷を続ける相場環境のなかで、システム開発大手のTISの株価が逆行高を続けている。TISの株価は、ほかの多くのIT関連銘柄と同様、7月2日の高値4840円をつけてから一貫して下落トレンドをたどり、10月28日には年初来安値の3530円をつけた。しかし、その後は一転上昇トレンドとなり、11月4日に発表された9月中間期決算の好結果がさらに株価の上昇を加速させ、10日には4200円台に乗せてきている。
株価の反転上昇を加速させるきっかけとなった9月中間期の連結決算は売上高1067億3300万円(前年同期比33.4%増)、営業利益72億3100万円(同36.1%増)、経常利益73億9800万円(同35.8%増)、純利益28億900万円(同21.4%増)と好調な結果となった。
予想を上回る好決算となったのは、今期から子会社に加わったユーフィットによる上乗せ効果(売上高にして約200億円、営業利益段階では約10億円)や、カード会社など向けに大型案件を複数抱えているTIS単体などでのソフトウェア開発の拡大が貢献している。
アウトソーシングサービス分野では、ユーフィットの上乗せ効果が大きかった。ユーフィットは、金融系の主要顧客であるクレジットカード、銀行向けのデータ管理などのアウトソーシング業務と、それから派生するビジネスプロセスアウトソーシング業務が好調に推移し、この部門の中間期の売上高は389億1700万円(前年同期比47.1%増)となった。さらに、ソフトウェア部門の売上高は、ユーフィット効果に加えTIS単体で推進している化学業界大手企業へのERPプロジェクトなど、複数の大型案件が順調に推移していることが寄与し、この部門の売上高は395億1100万円(同31.1%増)となった。ソリューションサービス(情報機器・ソフトウェア)部門も売上高252億9000万円(同23.2%増)となった。
こうした9月中間期の好調な決算や、下期に売上高として立つことが見込まれる大型受注を複数抱えていることから、同社では2005年3月期通期の連結業績見通しを上方修正した。従来予想の今期通期連結業績は、売上高2050億円、経常利益157億円、純利益71億円だった。これを今回上方修正して、売上高2158億円(前期比27.4%増)、経常利益169億円(同34.2%増)、純利益74億円(同35.5%増)とそれぞれ上方修正した。しかも、この予想は控えめなもので、下期に再上方修正の可能性も残されている。
ただ、株価的には10月28日の3530円の年初来安値から、半月足らずの短期間に20%近くの急上昇をみせてきただけに、今後は一本調子の上昇が継続する可能性は少ないといえそうだ。PER的にも25倍水準と割安感には乏しいことから、5000円の大台を回復するまでにはかなりの時間が必要とされそうだ。
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