ロシアの一部のPCを悪用して、携帯電話の所有者に不正にスパムを送りつける悪質なプログラムが出現したと、ウイルス対策ソフトメーカーが警告している。
このプログラムは「Troj/Delf-HA」というトロイの木馬で、ユーザーがこのプログラムを実行するとコンピュータが乗っ取られてしまうと、ウイルス対策ソフトメーカーSophosは述べている。このプログラムは次にロシアのテキストメッセージサービスを利用して、携帯電話ユーザーに無作為にショートメッセージ(SMS)を送りつける。
「携帯電話スパムは非常に迷惑で、電話の所有者が高額な通信料を請求される可能性がある。SMSスパム業者は現在、保護されていない、無実のPCを利用して迷惑なメッセージを送りつけている」とSophosのシニアセキュリティアナリストGregg Mastorasは8日付の声明で述べている。
このトロイの木馬Delfは、以前に出現したCabirワームのように携帯電話自体に感染するのではなく、PCに侵入してそこからメッセージを送信するものだ。
4年前にはTimfonicaというウイルスが、PCを利用してスペインの携帯電話ユーザーに大量のSMSを送ったことがあった。これまでのSMSスパムキャンペーンは、携帯電話ユーザーに分単位で課金される番号に電話をかけさせたり、高価なホットラインサービスに登録させたりすることを狙っていたとMastorasは述べている。
携帯電話スパムは、急速にインターネットスパムと同様の大問題になるだろうと一部の専門家は考えている。
米連邦通信委員会(FCC)は8月に、受信者が前もって受信を許可しない限り、携帯電話やハンドヘルドコンピュータに商用目的で電子メールを送りつける行為を規制することを可決した。しかし、SMSのようなメカニズムを介して送りつけられるテキストメッセージまでは規制していないため、(SMSスパムが横行すれば)この決定の効力が半減する可能性がある。
トロイの木馬Delfはロシアのウェブサイトからとされるスパムメッセージをダウンロードする。このプログラムはウイルスとは異なり、自らを他のコンピュータに自動的に広めることはしない。その代わり、攻撃者がターゲットとしたPCに悪質なソフトウェアを送信することで広まっていく。
ユーザーは、信頼できるメールの添付ファイルだけをクリックすることにより、トロイの木馬への感染からシステムを守ることができる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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