NTT東西は11月5日、施設設置負担金(電話加入権)の値下げを2005年3月1日より実施すると発表した。価格は現行の半額の3万7800円とする。今後も段階的に値下げを行う方針で、将来的には廃止も視野に入れている。
これは10月19日に総務省から出された「平成17年度以降の接続料算定の在り方について」の答申を受けたもの。答申では負担金の見直しによって加入権が消滅するわけではないことなどから、変更を容認する姿勢を示していた。
値下げの理由についてNTT東日本 取締役 経営企画部長の有馬彰氏は「施設設置負担金は電話の回線設備の建設費用を負担してもらうものだったが、電話加入者数が減少するなかで施設設置負担金の意義が薄れてきたため」と説明する。欧米各国の加入時一時金は1万円前後と他国と比べても高い水準にあり、さらにライバルの日本テレコムなどが初期負担費用を求めないサービスを開始することから、料金の変更が必要だと判断したという。
NTT東日本 取締役 経営企画部長の有馬彰氏 |
ただし施設設置負担金は質権として認められており、市場では売買も行われている。また、非減価償却資産として計上している企業も多い。このため負担金の撤廃については「段階的に廃止するという選択肢もあるが、現時点では未定」(同氏)と言葉を濁した。
料金を半額にした理由は、「半額なら電話加入権の取引市場にも大きな影響がないと判断したため」(同氏)。負担金を分割して月額基本料に加算するライトプランの場合、現行の672円から262.5円に値下げされる(請求時に1円未満は切り捨てとなる)。ライトプラン制度の導入時に比べて金利が下がっており、システム開発費も抑えられることからこの価格になったという。
今回の値下げがNTT東日本の業績に与える影響は年間約50億円、NTT西日本は同約40億円としている。
既存顧客に対する返金や通話料の優遇といった措置は行わない。来年3月までに加入する顧客にはライトプランを勧めていくという。新聞広告などで料金変更の周知を行って顧客の理解を求める考えだ。
固定電話をめぐっては、今年8月にソフトバンクが直収型電話サービスを発表し、9月にはKDDIがIP網を利用した同様のサービスを発表している。これに先だって電話加入権を必要としないIP電話サービスも登場しており、こうした動きに対応して10月1日にはNTT東西の一般固定電話料金の引き下げとプッシュ回線利用料の廃止を2005年1月に実施することが発表されている。
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