カリフォルニア州パロアルト発--企業幹部や官僚らは、RFID技術のもたらす労力節約の恩恵に歓喜しているが、もうすぐ技術系労働者もこの技術を熱狂的に支持するようになるかもしれない。
Hewlett-Packard(HP)では、RFIDシステムを内蔵してデータセンターを管理しやすくする「スマートラック」の開発を進めている。2年以内に市場に登場すると見られるこのラックは、瞬時にサーバの稼働状況を把握し、オーバーヒートなどの問題が見つかればスタッフに通知することができるというものだ。
HP Labsの研究グループは先週、同社が当地に新しく開設したRFID Demo Centerを報道陣向けに公開した際、このスマートラックのプロトタイプのデモを行った。
スマートラックの各段にはRFIDリーダが装着されており、これがサーバからの高周波信号を読み取る。サーバには各マシン固有のID番号を格納した専用チップが搭載されている。HP LabsのSalil Pradhan(RFID担当チーフテクノロジスト)は、スマートラックを導入すれば、データセンターの管理者が瞬時に稼働状況を把握できるため、実際の目視による各ラックの状況把握という大変な労力を省くことができる、と語っている。
この次世代サーバラックは、ハードディスクに重要な情報を格納したマシンの紛失や配置ミスといったリスクも軽減できる。さらに、各マシンの詳細な作業履歴が残せるため、修理や保守の能率化にも役立つ。HPでは、熱問題を早期発見して故障の回避に役立てる温度感知式のRFIDチップの開発を進めている。
Pradhanは、このシステムは数千台ものサーバを収容する大規模データセンターを管理する企業にとって魅力的なはずだ、と語っている。
RFID技術は何十年も前から存在しており、家畜の追跡、IDバッジを使った社員の入退室管理、ETCのような自動料金支払いシステムなどの用途で普及している。
技術標準の登場やチップの価格低下により、現在では企業各社が同技術の新しい用途を見いだしつつある。小売業界では、Wal-Mart Storesを筆頭に、商品の監視にRFIDを採用し始めている。政府も、パスポートへのバイオメトリクスデータ添付や軍用備品の整理にこれを利用したい考えだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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