ブロードバンド回線には一体どれくらいのデータを通すことができるのだろうか。ブロードバンドをめぐる次の大きな戦いでは、まさにその点が問題となりそうだ。
回線速度が上がり、また毎月の回線使用料がほとんどの家庭で支払える範囲まで下がってきたいま、インターネットの利用範囲はPCや電話はもちろん、ステレオや冷蔵庫といった家電製品にまで急速に広がると見られている。しかしそうなると必然的に、ワームやウイルス、トロイの木馬、悪質なハッカーなどによる攻撃も増えることになる。
ブロードバンド回線を提供するアクセスプロバイダが、このセキュリティ問題に対策を講じてくれると思うかも知れない。なかには、それを新たな売上の機会と捉える企業さえある、と。
ところが、現実はそうではない。
それどころか、CATV事業者やDSLプロバイダは、セキュリティに関してわずかづつしか進歩していない。自社でセキュリティ対策を施すよりも、セキュリティ対策ソフトウェアをバンドルしたり、評価用ソフトウェアやWebベースのヘルプデスクを提供するなどの方法を取っているのが現実だ。
Qwest Communications InternationalとVerizon Communicationsは、MSN Premiumを無償でブロードバンドサービスにバンドルしている。このバンドルには、ウイルス対策ソフト、ファイアウォール機能、ポップアップ・ブロック機能が含まれている。また、AT&Tや他のいくつかの企業のように、セキュリティ対策ソフトの30日間試用版を提供しているだけのところもある。
このため、顧客は自己責任でセキュリティ対策を講じるしかない。そして、知識のあるユーザは、パソコンショップに足を運んで、McAfeeやSymantecといったベンダから出ているインターネットセキュリティソフトウェアを購入することになる。こうした製品にはウイルス対策、スパム対策、ファイアウォール、コンテンツフィルタリングなど各種の機能が盛り込まれている。
だが、ここで問題が出てくる。帯域幅が広くなり、より多くの電子機器がインターネットに接続するようになると、ホームネットワークは複雑なものになる。突如として、家中にあるすべての機器にセキュリティ対策ソフトを入れる必要が出てくる。家中のすべての機器で、設定変更の管理、脆弱性を修正するパッチの適用、コンテンツのフィルタリング、最新のウイルス定義ファイルのダウンロードといった作業を行うことが必要にある。そうなると、一家の主はセキュリティ管理者という新しい役目を仰せつかることにもなりかねない。また、このような作業をこなせるだけのスキルがあればよいが、それがない場合はすべてのシステムが危険にさらされることになる。 また、こうしたルーチンのタスクを怠った場合も同様の目に遭いかねない。
他人はどうだか知らないが、少なくとも私は、子供と一緒に過ごしたり、さまざな請求の支払いを済ませたり、犬を散歩に連れていったり、芝を刈ったりする時間さえ充分にとれていない状態だ。この上、貴重な自分の時間を、ファイアウォールのフィルタリングルールの保守やスパイウェアの削除などに費やしたくはない。
そこで、次の2つの主要な特徴を備えた簡単なホームセキュリティサービスが必要になる。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」