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ネットワークという視点で深まる世界観

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  ネットワークは、何もハイテクの世界ばかりに存在するものではない。むしろ、世の中には驚くべき多さのネットワークが遍在しているといっていい。まさにユビキタスだ。インターネットなどのハイテクはごく限られたモノを目に見える形でネットワークしただけ、といってもいいほどだ。

どこにでもあるネットワーク

  前回は、「ネットワークというとハイテク」という発想から抜け出し、例えば「ハードとソフト」の普及のジレンマや競争戦略、マーケティングといった領域における理解の道具としてのネットワーク思考を提案した。さらに、商品やサービスに先行して利用者らにネットワーク構造が存在している場合において、より効率的な普及促進、そして収益の確立のためのアプローチとしてネットワークの多重性に注目する必要性を示した。すなわち:

  1. 人間関係などそもそもあったネットワークをベースに、商品やサービスとしてのネットワークを効率的に構築することが可能になる
  2. 次の段階では、その取り込まれたネットワーク内部でさらに新たなノード間の接合が生じ、ネットワーク密度を増すという新たなフェーズに進展していく

  1と2ではネットワークの成長の方向性が異なる。1では外的にネットワークの規模を広げることが中心となり、初期的な普及が実現される。2では、ネットワーク内部の密度が高まりトランザクションの増強が中心になる。同じサービスであっても収益に貢献する仕組みが異なることがわかる。このため、例えば基本料金とトラフィックごとの従量課金という二部料金制や非線形価格などを採用することが適切であることがわかる。典型的に携帯電話事業は、価格戦略という点でも非常にネットワークの特性を生かした事業なのだ。

ネットワークを取り込む

  この2つの特性は、一般的に組織など構造を有した存在の「目標達成」と「自己維持」という2つの基本ベクトルから生じたものだといえばわかりやすい。いわゆる「外向きベクトル」と「内向きベクトル」からなる均衡がシステムとしての組織を継続させるという構造機能主義的な理解だ。

  組織をはじめとする構造は、発生当初はその最小限の規模を維持することを目標に拡大する。それ以降は成長をはじめとした何らかの目標を達成する外的なベクトルを追加するようになる。一方、目標達成という外部ベクトルと同時に、内部の自己崩壊を避けるために様々な活動が行われるようになる。

  その1つの試みとして、「外部の内部化」があるだろう。内部を活性化するために、外部からの刺激を取り入れるという試みだ。例えば、規模の小さなネットワークを組織の中に取り込んでみたり、独立したネットワークとの相互接続をすることで、内部圧力の低下(トランザクションの相対的な減少)を促したり、逆に内部活動の活性化を進めたりすることが期待される。

  このコンテクストでは、前回紹介した「特定のグループをターゲットに丸ごと取り込む」「ハブとなる人を優先的に取り込む」といったGREEの施策は、表面上ある程度成長を実現したネットワークの内部向けの施策のようにも取れる。だが、実際はある程度の規模に達した場合に行われる自己維持という内部=内向きベクトルとしての「外部の内部化」ではなく、むしろ立ち上げ時の成長を指向した目標達成=外向きベクトルとして「外部の内部化」という手法として機能していることになる。矛盾したようにも見えるこの施策はどういうことなのだろうか。

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