ハイテク業界最大手のIBM(本社:ニューヨーク州アーモンク)は米国時間18日、第3四半期決算を発表した。同期は純利益が大幅な伸びを示したものの、従業員の年金プランをめぐる3億2000万ドルの和解金支払いが業績全体の足を引っ張る格好となった。
同社はまた、通年の1株あたり利益を4ドル99セントへと3セント上方修正し、また企業の今後の技術関連投資については慎重ながらも楽観的な見方を示した。
IBMのCFO(最高財務責任者)Mark Loughridgeは、米国時間18日の電話会議のなかで、「このように控えめな拡大パターンが今後も続くだろう」との見解を示し、企業の支出は2004年第2四半期と同レベルで、2000年以来最高となる年間約4〜5%の成長が続いている、と付け加えた。
IBMは、9月30日決算の第3四半期について、年金訴訟関連費用計上後の利益が18億ドル(1株あたり1ドル6セント)だったことを明らかにした。昨年同期は17億9000万ドルだったため、これは1%の増加となる。この費用を計上しなければ、第3四半期の利益は12%増の20億ドルとなっていた。
First Callがアナリストを対象に行った調査では、IBMは1株あたり1ドル14セントの利益を計上し、特別費用の計上がなければ1株あたり1ドル17セントの利益を計上するとの予想が出されていた。
IBMは9月に、1990年代に実施した年金プラン変更時に年齢の高い社員を差別したとして従業員が提起した訴訟の一部について、3億2000万ドルで和解に合意したことを明らかにした。同社はこの和解条件の一環として、係争中の関連訴訟の賠償責任を14億ドルに抑えることができた。
一方、ヨーロッパの総売上高は定率為替で比較すると昨年同期と変わらなかった、とLoughridgeは語っている。対照的に、アジア太平洋地域の売上高は6%、アメリカ地域は7%増だった。
IBMのビジネスの半分近くを占めるGlobal Servicesコンサルティング部門の売上高は5%増だった。前四半期のサービス契約予約分は約105億ドル(定率為替では98億ドル)で、前年とほとんど変わらなかった、とLoughridgeは説明した。
だが同氏は、特にビジネスプロセス・アウトソーシング(BPO)の取り組みなど、IBMが今後有望なサービスに投資していることから、サービス関連利益の短期的な低迷は今後相殺されていくと強調した。IBMは人事や経理といった各種アウトソーシングにまで自社のサービス範囲を拡大しようとしている。
一方ハードウェア部門では、売上が9%増加。なかでもメインフレームのzSeriesと、xSeriesのx86サーバの売上の伸びが最も大きかったという。さらに同社のPersonal Systems部門は2四半期連続の黒字となった。
また同社のソフトウェアビジネスは、第2四半期に売上減少となっていたが、第3四半期には(為替変動分修正後で)売上1%増と成長率が再びプラスに転じた。WebSphere、Tivoli 、DB2の各ビジネスは売上が2桁の伸びを見せたのに対し、Lotus部門では売上が6%減少、またOSの販売額も2%の落ち込みとなった。
同社のGlobal Financing部門では、同四半期の売上が11%減少した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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