MontaVista Softwareが、現在はプロプライエタリなライバル製品だけが持つ機能をLinuxで実現する作業に着手した。その機能とは、自動車の制御用コンピュータからビデオプレイヤーまで、あらゆる製品にとって有益な高速レスポンスを保証するものだ。
MontaVista(本社:カリフォルニア州サニーベール)は、DVDプレイヤーや通信機器のような組み込みコンピューティング機器向けのOS開発にフォーカスしている。しかし同社は、特定の短い時間内の反応を保証できる「ハードリアルタイム」OSを必要とするデバイスなど、組み込み市場の大きな部分にLinuxを普及させられずにいた。
MontaVista Softwareは、ハードリアルタイム関連の取り組みを米国時間12日に発表する計画だが、この機能を付加するパッチのプロトタイプは8日に公表している。
MontaVistaのプログラマー、Sven-Thorsten Dietrichは、MontaVistaリアルタイムソフトの開発をLinuxのカーネルメーリングリストに発表した際、ハードリアルタイムのサポートは、携帯電話の通話や、オーディオおよびビデオの再生、そしてGPS信号の受信処理などに役立つと述べている。
「多くの場合、これらのシステムではタスクレベルで数十から数百マイクロ秒単位での反応が求められるが、このレベルのタスク反応保証は現行の2.6 Linux技術では達成できない」(Dietrich)
ハードリアルタイムシステムは、生死にかかわる状況で利用する電子機器で必要になる場合が多い。Illuminataのアナリスト、Gordon Haffは、「飛行機の操縦中に、操舵翼の形状を変更しようとして、コンピュータに『次に処理します』と言われたのではたまらない」と述べている。
しかし、ハードリアルタイムOSでは、従来のOSより平均レスポンスタイムが低下するという代償を支払わなければならない。また、特に危険なほど過負荷にならないよう確実を期せるだけの余剰処理能力があれば、通常のOSでも十分な能力がある、とHaffは語った。
「ハードウェアの値段が下がり、多くの場合は余ったハードウェアがハードリアルタイムOS代わりになっている」(Haff)
ハードリアルタイムアプローチの主要なメリットに今ひとつ納得できていないのが、Linuxの生みの親であるLinus Torvaldsだ。
Torvaldsは電子メールでインタビューに答え、「組み込みデバイスであっても、ハードリアルタイムを望む人はほとんどいないだろう」と述べている。機能を追加すればOSは複雑になり、異なるプロセスが同じ資源を取り合うときに相手の領域を侵さないようOSが保証する「ロッキング」プロセスに負担がかかるという。
MontaVistaが提案するソフトウェアがメインカーネルに組み込まれる可能性を尋ねられたTorvaldsは、「個人的には、少なくとも現時点では強制力がありすぎると思う」と答えたが、パッチを小さい部品に組み込むことは可能だと加えた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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