米下院は5日(米国時間)、特に悪質ないくつかのスパイウェアを規制する法案を可決した。
米下院は、コンピュータを乗っ取る、ウェブブラウザのホームページを密かに変更する、適切な許可なくウイルス対策ソフトを無効にする、などの行為を禁じる法案を、399対1の圧倒的多数で可決した。
「Spy Act」と呼ばれる同法案が立法化されれば、インターネット上で情報送信が可能なソフトを規制するための複雑な規定が制定され、また米連邦取引委員会(FTC)には同法の違反行為を取り締まる権限が与えられ、最も悪質なケースには300万ドル以下の罰金を科すことができる。
同法案の作成に携わったMary Bono下院議員(カリフォルニア州選出、共和党)は、「スパイウェアの急速な拡散は、コンピュータユーザー共通の脅威となっている」と述べ、さらに「今日、下院でSpy Act法案が可決されたことにより、消費者は所有するPCの支配権の奪還に向け一歩前進した。その意味で、彼らにとって大きな勝利といえるだろう」と語った。
議会での審議中、Jan Schakowsky下院議員(イリノイ州選出、民主党)は、「もはや米国民は自分が所有するコンピュータの支配権を失っているが、彼らにはその理由が分からない」と警告した。
一部の企業は、これまで作成されてきたいくつかのSpy Act法案に反対してきた。それらの法案がスパイウェア対策を謳いながら、その内容があまりに広範に渡るため、合法的なソフトまで規制される恐れがあるというのがその理由だ。これに対応するため、米下院エネルギー/商業委員会(HECC)は4日、下院で採決が行なわれる直前にいくつかの修正を行った。
一方上院でも同様の法案が提出され審議を待っている。米商工会議所は9月21日、上院で審議されている法案はあまりに適用範囲が広すぎ、Eコマースを阻害するとともに、合法企業に巨大な法的責任を負わせかねない、との書簡を主要上院議員宛てに送付した。
大手インターネットサービスプロバイダ(ISP)のEarthLinkは9月29日、9カ月間かけて300万台のコンピュータシステムにスキャンをかけたところ、83万台からスパイウェアが発見されたと発表した。スパイウェアはPCにひそみ、ユーザの行動をひそかに監視する。一般にスパイウェアは、フリーウェアやシェアウェアにバンドルされているものをいっしょにダウンロードしてしまったり、あるいは電子メールやインスタントメッセージ(IM)を通じてパソコンに取り込まれる。スパイウェアは除去が難しく、パソコンに取り込まれると動作が遅くなったり、故障する場合もある。
なお、同法案に対する唯一の反対票を投じたのは、自由主義者で、ことあるごとに連邦政府はインターネットの取り締まりを行うべきではないと主張しているRon Paul下院議員(テキサス州選出、共和党)だった。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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