米国時間1日から始まった2005年度分のH-1Bビザ(専門職ビザ)への申請は、初日に早くも定員(6万5000人分)に達したことが、CNET News.comの取材で明らかになった。
ある米政府関係者は1日(米国時間)、論議を呼んでいる外国人労働者プログラムの2005年度(2004年10月1日から2005年9月30日まで)の定員が埋まったと述べた。同政府関係者が匿名を条件に語ったところによると、H-1Bプログラムの申請を処理している米移民局(USCIS)は、2005年度の初期雇用ビザの申込受付をすでに締め切ったという。
H-1Bビザは、高度な技能を有する外国人労働者に最長6年間の米国内での勤務を認めるもので、ハイテク企業の間でよく利用されている。2005年度のH-1Bビザプログラムの定員が申請初日に埋まったことで、同プログラムをめぐる論議が巻き起こるのは必至だ。各企業は、同プログラムの年間の定員枠から、米国の大学で修士号や博士号を取得した外国人留学生を除外するよう求めている。
現在米上院では、一部学生の定員枠からの除外を認める法の制定や、H-1B/L-1外国人労働者プログラムのその他の変更について、真剣な議論が行なわれている。
高等教育機関、非営利研究グループ、政府研究機関については、すでに定員枠からの除外を認める規定が存在する。
H-1Bビザの定員枠は埋まったが、必ずしも同ビザの発行が行なわれているわけではない。前出の政府関係者によると、USCISはまだ申請を処理している最中で、国務省では1年を通じてビザを発給していくという。
米国の雇用者は、H-1Bビザの申請前に米国人労働者を雇用しようとしたことを証明する必要はないが、外国人労働者を雇う場合には彼らに一般的水準の賃金を支払わなければならない。USCISによると、承認された全ビザ申請に占めるシステムアナリストやプログラマーの雇用を目的とした申請の割合は、2001年は全体の半数を占めたが、2002年は3分の1まで減少したという。
米政府は今年2月に、9月30日に終了した2004年度のH-1Bプログラムの定員枠が埋まったと発表した。
2005年度用H-1Bビザの早期定員到達は、全くの予想外というわけではない。USCISは8月18日の時点で、年間定員の71%に相当する申請を受領していた。
企業、大学、研究機関で構成される連合組織、Compete Americaは1日、H-1Bビザの割り当てが数週間以内に定員に達する見通しで、多くの米国企業がおよそ1年間、高度な教育を受けた外国人を雇用できなくなると警告した。
しかし労働者擁護団体は、最近の調査結果を見ると、IT分野では大幅な人員削減が行なわれており、ハイテク労働者の失業率は高水準にあると指摘する。また、外国人労働者ビザは高度な技術を要する業務をインドやフィリピンといった国々に移転する傾向を助長しているとの批判の声も上がっている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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