南カリフォルニア在住の男が、無防備な無線LANのアクセスポイント(ホットスポット)を利用してスパムメールを送信した罪を認めた。この事件は米国のスパム規制法であるCan-Spam法に基づいて有罪判決が下される初のケースであり、この件をきっかけに、誰でも利用可能なWi-Fiサービスの危険性に対する懸念が再浮上している。
Nicholas Tombrosは、昨年カリフォルニア州ベニスで、無防備なホットスポットを求めて車で街中を探し回る、いわゆる「ウォー・ドライビング」を行ない、それらのホットスポットを利用してポルノサイトを宣伝する迷惑メールを送信したことを認めた。
Tombrosは9月27日(米国時間)、多数の商用スパムメールを送信する目的でコンピュータに不正アクセスした罪を認めた。カリフォルニア中部地区の米連邦検事局によると、12月6日にTombrosに対し3年以下の懲役刑判決が言い渡される予定という。
この事件は、2003年12月に大統領が署名し、鳴り物入りで成立したCan-Spam 法に基づいて有罪判決が下される米国初のケースとなる。Can-Spam法の成立後も、スパムを使った販売活動は拡大し続けているが、同法が適用された重要な訴訟はまだ行なわれていない。今年4月、米司法省がCan-Spam Actに基づき、デトロイト在住の4人の男を刑事告発し、これが同法を根拠に起訴された最初の事件となった。さらに今年7月、マサチューセッツ州検事総長事務局が、数千人の消費者に対しスパムメールを送信した疑いでフロリダ在住の男を起訴している。
Tombrosの事件はまた、無線ネットワークにおけるセキュリティの重要性、すなわちネットワーク内の安全性欠如の実態を浮き彫りにした。
現在のセキュリティ対策手段は平均的な消費者にとって使いづらく、多くの消費者はそれらを使用すべきであることすら認識していない、と多くの専門家が指摘してきている。IT技術に疎い人々や市場の多くの消費者が無線ネットワーキングを利用するようになると、Tombros事件のような例が増加する可能性もある。
権限のないユーザーが、オンライン上での行動を隠すため、誰でも利用可能な無線インターネット接続を利用する可能性があることは、セキュリティ専門家の間ではかなり以前から知られていた。さらに一部の専門家は、誰でも利用可能なWi-Fiホットスポットはテロ行為を助長する可能性があると警告してきた。にもかかわらず、驚くほど多くの消費者が、無線ネットワーク上でセキュリティプロトコルを使用していない。
メーカーと消費者の両者にとって、そのようなセキュリティ機能の扱いは微妙な問題だ。強力な対策が必要だが、それは容易にインストールできなければならず、またネットワークは認定ユーザーが利用可能な状態にしておかなくてはならない。Wi-Fi技術がここまで人気を博した理由の1つは、誰でも利用可能である点とその使いやすさにあるからだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」