CiscoもMicrosoftも、それぞれ独自のセキュリティエージェントとRadiusサーバの販売していることから、最終的に両アーキテクチャに互換性を持たせる力を持つのは顧客になりそうだ。Trusted Computing Group(TCG)では、顧客がメーカーの違いに関係なくRadiusサーバやセキュリティソフトウェア、ネットワーク機器を利用できるよう、すでにオープンな標準を使用するアーキテクチャの設計に取り組んでいる。同グループにはMcAfee、Intel、Sygate、Juniper Networks、Hewlett-Packard(HP)、Sun Microsystemsなどが参加している。MicrosoftもTCGのメンバーだが、CiscoはTCGに参加していない。
TCG支持者の間からは、CiscoとMicrosoftが、パートナー企業と協力する用意があると表明しているにも関わらず、いまだにソリューションの一部をプロプライエタリにして、顧客を自社製品に縛り付けようとしているようだ、という苦情が出ている。
「MicrosoftとCiscoは間違いなく、自社のアーキテクチャが市場で支配的な立場に立つことを強く望んでいる。そして彼らは、独自ソリューションを押しつけて、顧客が自社製品を購入し続けるようにしているのだ」(Scull)
たとえば、Ciscoは6月に、ウイルス対策パートナープログラムを拡大し、より多くのセキュリティベンダと提携すると発表したが、しかし競合するネットワーク企業にNACアーキテクチャを公開することについては触れなかった。またMicrosoftは、30社以上のベンダが参加できるプラットフォームを構築しているが、それにも関わらず同社のNAPアーキテクチャは、クライアントとサーバが共に純粋なMicrosoft環境でないと機能しない。
「世間に出回るデスクトップの大多数で、Microsoft Windowsが動いていることには疑いの余地がない。しかしWindows 2003サーバソフトウェアはそれほど広く普及しているわけではない。そしてMicrosoftは、顧客がWindows 2003サーバを使う必然性を作ろうとしているように私には思われる」(Scull)
CiscoとMicrosoftは、各々がプロプライエタリな技術の実装を推し進めようしているとの考えを一蹴し、両社ともオープンな標準を望んでいると主張している。また両社は、標準化計画を進めるために標準団体と協力していくことを公約している。
CiscoのGleichaufは、同社のこれまでの戦略を擁護した。
「少なくとも顧客がとりあえず利用できるものが存在するように、我々はアーキテクチャをなるべく早く提供しようとしている」とGleichaufは言う。「我が社はNACを昨年11月に発表し、最初の製品群を今年6月に提供した。競合する他の計画がまだ参加企業を発表している段階であるのを考えれば、我が社はかなり良くやっていると思う。複数のベンダー間で大掛かりな計画を進めていくには時間がかかる。我々は適切な時期がくれば、NACを公開するつもりでいる」(Gleichauf)
Gleichaufはさらに、Ciscoにとっては、他のベンダを計画に参加させる前に技術を整えることが重要だと付け加えた。参加ベンダの数が増えれば増えるほど、問題があるときの顧客の不満は大きくなる。顧客は、何かうまくいかないときの問い合わせ窓口が1つであることを望んでいるとGleichaufは語った
MicrosoftのAndersonも、同社によるオープンな標準へのコミットメントを繰り返した。
「ベンダ各社がそのクラスで最高のポリシーエンジンを選択できるような市場になるだろう。我々は、ベンダらがMicrosoftを選択してくれるよう願っている。しかし彼らがMicrosoftを選択しなかい場合でも、複数のインフラが混在する環境でこのアーキテクチャが機能するようにしたい」(Anderson)
またAndersonは、全てが完成するまでには時間がかかるとも述べている。
「どの企業もすでにウイルス対策ベンダと協力している。ウイルス対策ベンダとの提携は、最も簡単に結べる提携になっているようだ。ネットワークなどの他のパーツは後で実現する。これらは皆、非常に複雑なアーキテクチャであり、一夜にして実現する類のものではない」(Anderson)
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