日本オラクル(新宅正明社長)とラック(三輪信雄社長)は9月29日、データベースセキュリティの分野で協業したことを発表した。
企業の個人情報を主とした情報漏えいが多発するなか、企業にとってセキュリティ強化が急務となっている。米国では、あらゆる犯罪にコンピュータが関与すると考えられていることから、コンピュータ内の不正アクセスの追跡や犯人の特定などを行う技術的な研究「コンピュータ・フォレンジック」が進められており、警察などの捜査機関によって、ハイテク犯罪だけでなく、企業内など民間レベルでの犯罪調査にも利用されている。
一方、国内では、米国と法務制度が違うことなどが理由で、これまでは、ごく一部のハイテク犯罪捜査に限って「コンピュータ・フォレンジック」が利用されてきたが、今後、民間レベルでの利用を促進するため、法的・社会的な枠組みの整備、専門会社の普及、「コンピュータ・フォレンジック」の認知度向上などが求められていた。
今回の協業は、こうした実状に対応したもので、広範な「コンピュータ・フォレンジック」のなかでも、個人情報などの機密情報が格納されているデータベースへの侵害に対するセキュリティ監視に特化し、不正アクセスの源を探り、犯人の特定を可能にする技術的な手法「データベース・フォレンジック」を確立する。
具体的には、オラクルのデータベースがもつ監査機能などと、ラックのもつセキュリティ技術を統合し、(1)データベースへの詳細なログ、(2)ネットワーク上のログ、(3)サーバーOS上のログ―─を記録、分析、監視する技術的な手法を確立。これによって、個人情報を主とした情報漏えい事件の流出経路を特定し、疑わしい人物を追求・訴追することで事件の解決を図る。このようなシステムを導入し、周知させることで、未然に内部犯罪を防止する大きな抑止効果も期待できる。
両社は今後、フォレンジック技術をもつ企業のコンソーシアムを設立し、政府による法制度化・標準化とともに、さらなる利用促進を目指す。
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