松下電器産業と松下電工は9月28日、両社で重複している開発・製造・販売機能について再編を行うと発表した。白物家電を松下電器に、電材事業や住建・設備事業を松下電工に集約する。また、原材料やデバイスの調達をグループで一括購入することで調達コストを引き下げ、2010年にグループ売上高10兆円、営業利益率10%を目指す。
事業再編の対象となるのはアプライアンス事業と電材事業、住建・設備事業の3つ。まずアプライアンス事業については、マーケティング機能を松下電器に統合する。松下電工の電器市場分社と松下電器のナショナル マーケティング本部を再編し、大物電化商品を担当するナショナル アプライアンス マーケティング本部と、理美容・健康家電等を担当するナショナル ウェルネス マーケティング本部の2つを新たに設立する。
重複する商品分野については、電気カーペットや生ゴミ処理機などを松下電器に集約し、浄水器等の水事業や体脂肪体重計などは松下電工に集約する。
ビルの照明や音響、空調設備や配線などを手がける電材事業については、営業部門を松下電工に一元化する。ただし都市開発事業などの建設市場における大型プロジェクト案件に対応するため、松下電器は建設事業推進本部を新たに設け、グループの統括を行う。「これにより、松下は空調から照明までを含めたトータルな形で省エネ提案が可能になる」と松下電器産業代表取締役副社長の戸田一雄氏は説明する。重複事業もすべて松下電工に集約する。
住建・設備事業も営業部門を松下電工に統合し、住宅設備・建材業界への窓口一元化を図る。重複分野については、電気給湯器のエコキュートを松下電器に、キッチン・バス事業は松下電工に統合する。
売上高で見ると約2600億円が松下電工に、約1600億円が松下電器に移管される。結果的に松下電器にとっては約1000億円の売上減が見込まれるが、「(事業再編によって)新たな事業が生まれる。2006年に営業利益率5%という目標を立てているが、1.5倍程度に伸びるのではないか」(戸田氏)と自信を見せた。
11月には「コラボV商品」と呼ぶ、松下電器と松下電工の技術を合わせた旗艦商品の本格展開を始める予定という。具体的な内容については明らかにされなかったが、空気清浄機などが予定されている模様だ。新事業の展開に人員が必要なことから、事業再編に伴う人員削減などは特に計画していないという。
共同資材調達については、10月より樹脂材料やコンデンサ・コイル等のデバイス部品に関する集中契約・購買を推進していく。今後は間接資材等の集中購買なども行う方針だ。
また、10月より松下電工の海外会社の資金と為替取引をグループ財務拠点に集約し、財務コストや為替リスクの低減を図るとしている。
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