Microsoftは、海賊版ソフトの利用者たちをもう少しよく理解しようとしている。
同社はこのほど、あるパイロットプログラムを立ち上げた。これはメインのWindowsダウンロードページを訪れたユーザーの一部の対して、利用するオペレーティングシステム(OS)が正規のライセンスを得たものかどうかについて、Microsoftによるチェックを許可するかを尋ねるというものだ。
ユーザーは、たとえこの実験プログラムに参加しなくても、目的のファイルをダウンロードできる。また、実験に参加したユーザーのWindowsが、正規にライセンスを受けたものでないことが判明した場合もダウンロードは可能だ。Microsoftはこのプログラムについて、正規のWindowsを利用している顧客に対し、より良い経験を提供するための第1ステップだとしている。
同社では、このプログラムが現段階ではオプションであることから、海賊版ソフトを使用しているユーザーの大半は参加しないと予想している。
「海賊版のWindowsを使っている自覚がある人たちは、この実験プログラムに非常に興味をひかれると思うが、しかし彼らには協力しないという選択肢も簡単に選べるようにしてある」と、Windowsクライアント部門のディレクター、David Lazarは述べている。
この実験プログラムでは、ユーザーのWindowsが正規のものではないことが分かった場合、ユーザーに対してそのPCの販売元の会社に問い合わせるか、ソフトウェアを正規のものにアップグレードするよう勧める仕組みになっている。また、ユーザーが目的のファイルのダウンロードを始める前に、正規のソフトウェアの入手方法に関する情報をさらに提示する。現行の形式では、正規のライセンスを受けたソフトウェアのユーザーが、このプログラムで特に恩恵を受けることはない。
Microsoftがいずれ、このプログラムを義務づけすることも考えられる。また同社が、不正にコピーされたWindowsのユーザーに対し、Microsoftサイトからのソフトウェア・アップデートをできなくする可能性もある。
しかし、Lazarによると、Microsoftがこのプログラムでターゲットとしているのは、正規のWindowsが搭載されたコンピュータを買ったつもりだが、確信が持てずにいる顧客グループだという。Microsoftはこうした人々を顧客にしたいと考えており、そのため同社は正当なWindowsの使用を勧める場合でも彼らに親切に対応したいと考えている。
「われわれはこのインフラを実験する必要がある。これは(Windowsのコピーが正当なものかどうかを)判定するためのものだ。その判定が常に正しく、全てのユーザーがポジティブな体験をできるようにしたい」(Lazar)
Lazarによると、Microsoftではまず2万人のユーザーにこのプログラムを体験させた後に、その拡大もしくは修正を決定したいと考えているという。同氏はこれにかかる時間について、6週間から3カ月と見積もっている。
「Windows Genuine Advantage」というこのプログラムは、Microsoftが進める海賊版対策キャンペーンの一環だとLazarは述べた。同氏は、Microsoftが教育、施行、エンジニアリングという3つの分野でこのキャンペーンを行っており、この新しいプログラムはエンジニアリングに属するもので、ソフトウェアの正当な使用を促すようソフトウェアを設計する取り組みの一部だと説明した。
Microsoftも主要メンバーとして参加するBusiness Software Alliance の推定では、毎年290億ドル相当の海賊版が出回り、ソフトウェアメーカー各社に被害を与えているという。ただし、同グループによる被害額算定の方法については、一部から疑問の声も上がっている。
Lazarは、Microsoftがどのアップデートへのアクセスも遮断しておらず、とくに同社がすべての顧客にアップグレードするよう勧めているWindows XP Service Pack 2については、何年も前から海賊版であることが判明しているいくつかのレジストレーションコードを除いて、正規のWindowsユーザーでなくてもこれを入手できるようにしている点を強調した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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