IBMが、新しいチップを搭載したパソコンの出荷を開始する。このチップは、パスワードをはじめとする重要な身元情報を保護し、ハッカーの手からPCを守るように設計されている。
同社は、National Semiconductorの「SafeKeeper Trusted I/O Device」を採用する初のメーカーとなる。このチップは、コンピュータのID情報をチップのなかに保存することにより、外部者からアクセスを防ぐ。同社は、入出力(I/O)チップに機能を強化する一環として、この技術を追加した。I/Oチップとは、さまざまなPCパーツ間でのデータのやりとりを制御するものだ。
「セキュリティ、暗号化、パスワード管理という3つの要素は、IBM ThinkVantage Technologiesのなかで最も重要なものだ。この技術のおかげで、ユーザーはわずらわしい事柄を心配する必要性が減り、あらゆる規模の組織における管理コストが削減される」と、IBMのClain Anderson(PC部門プログラムディレクター)は、声明のなかで述べている。
National Semiconductorの話では、こうした情報をハードウェアに格納するやり方を採用すると、ソフトウェアを利用する場合と比べて、安全度が桁違いに高くなるという。このチップは特別につくられたプロセッサにしかアクセスできないコードキーを使って情報を暗号化し、外部のハッカー(による悪用)やユーザーエラーから情報を保護し、簡単にいうとPCに鍵を掛けて情報を取り出せなくしてしまう。
こうした技術は、よく「trusted computing」と呼ばれ、システムの安全性を高め、デジタル情報を守ることを目的とした取り組みの一環として開発が進められている。IT業界各社が、認証システムの信頼性向上を目指してさまざまな手法の開発に取り組んでいるが、なかには指紋読み取り装置や光彩スキャナーのようなバイオメトリクスを利用するアプローチもある。たとえば、Microsoftは先週、指紋読み取り装置を組み込んだキーボードを発表している。
デジタル関連の権利保護活動家のなかには、こうした技術が市民の間を流れる情報の自由な行き来の妨げになると考える者もいる。
National Semiconductorのチップのうち、デスクトップ用のものは、大量購入時の価格が1個当たり5ドルで、すでに発売されていると同社はいう。またノートPC用のチップは1000個購入時の単価が7ドルで、次の四半期に発売される見込みだという。
このセキュリティチップは、14日から出荷が始まったIBMのデスクトップコンピュータに採用されているもので、今後は同社が販売するほぼすべてのPCで標準装備されると、National Semiconductorの広報担当、Gayle Bullockは述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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