顧客の電子メールを勝手に読んだとされる電子メールプロバイダの行いについて、連邦通信傍受法違反ではないとの裁定が先頃下されて物議をかもしていたが、米司法省は米国時間3日、この件を再審理するよう控訴裁判所に要請した。
オンライン書店Interlocの前バイスプレジデントBradford Councilmanの行いは通信傍受法違反でないとの裁定が、今年6月に3人の判事から成る法廷で下された。しかし、米政府はこれを見直すよう第1巡回控訴裁判所に求めている。異例のことだが、政府のこの動きには複数の市民団体も協力している。
この裁定について司法省と市民団体の両者はそれぞれ訴訟事件摘要書のなかで、法律的な抜け道を利用してインターネットの通信傍受を行うことは、少なくとも第1巡回裁判所の管轄下にあるニュー・イングランド地方では合法であると認めることになってしまうと述べている。
「これだと、インターネットサービスプロバイダが顧客の電子メールに勝手にアクセスしても刑事責任を問われなくなる。また、犯罪者や企業スパイらは、通信傍受法(Wiretap Act)に触れずに相手の電子メールを監視できるようになってしまう。さらには、判事らが下した裁定の解釈に基づくと、デジタル電話の通話内容を盗聴しても同法を侵害したことにはならなくなる」と、同省が提出した書類には書かれている。
各市民団体も米国時間2日に提出した書類のなかで同様の警告を発している。「裁判所のアプローチは、さまざまなプライバシー保護策を骨抜きにしてしまう。この裁定によって、連邦や州、地域の捜査当局は、通信傍受法の制約を受けずに、盗聴器に相当する監視機器を好きなところに取り付けられるようになる」(同書類)
摘要書には、民主主義と技術のためのセンター(CDT)や電子フロンティア財団(EFF)、電子プライバシー情報センター(EPIC)、米図書館協会(ALA)が名を連ねている。
問題となっている訴訟で、Councilmanは自社の顧客(その多くは希少本や古本の販売業者)に対し、最後に「@interloc.com」がついた電子メールアドレスを提供したとされている。申し立てによると、同氏は従業員に対し、Amazon.comからこれらの業者に送られてくるメッセージをこっそり保存できる単純なコンピュータプログラムを作成するよう命じたという。
法廷の過半数にあたる2人の判事は、メッセージの転送中ではなく、(たとえ一時的であったにせよ)データがハードディスクに格納されている間に傍受が行われたので、Councilmanのこの行為は通信傍受法を侵害したことにならないと結論づけた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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