マレーシア・プトゥラジャヤ発--現在のところ、業務の主要なアウトソーシング先といえばインドや中国といった国の名が真っ先に挙げられるが、経営コンサルティング会社AT Kearneyによると、近頃はマレーシアが両国の手強い競争相手として台頭してきているという。
AT Kearneyがシェアードサービスやアウトソーシングの発注先として魅力的な場所を調査したところ、マレーシアがインド・中国に続く第3位に選ばれたという。企業はマレーシアを、製造やコールセンター業務の発注先としてだけでなく、ほかの国で行われる業務をサポートするためのマーケティングやIT管理といったシェアードサービスの拠点としても利用している。
今回の調査結果で第1位につけたのは、インドだった。第1位にランクインした理由としては、アウトソーシング分野における経験が豊富なことやスキルをもった労働者を確保しやすいことに加え、コスト面における優位性が挙げられる。 中国はアウトソーシングにおける経験と資質といった面ではインドに遅れをとるが、学校教育を受けた労働者の数が多いことと人件費が安いことが追い風となって2位につけたと、同社はいう。
また、マレーシアは、インフラが整っていることやビジネス環境が魅力的なこと、政府の強力なサポートが得られることなどの要因が重なって、「インドや中国に代わる候補地として有望」になりつつあると、AT Kearneyマレーシアオフィスに務めるマネージングディレクターのOoi Joon Leongは述べる。
「マレーシア政府は、これまで自国のことを、サービスや技術革新のハブであると位置付けてきた。その結果、たくさんの多国籍企業がグローバルオペレーションや地域オペレーションの拠点をマレーシアに置くようになった」と同氏はいう。
同社の調査結果ではインドと中国が上位を占めたが、この2カ国の方が政治的、経済的リスクが高く、インフラの整備状況も比較的遅れている。さらに中国においては、知的所有権の侵害や政府機関における形式的な手続きといった問題をクリアする必要があると、同調査のレポートには記載されている。
これに比べると、マレーシアは、経済が確実に成長しているおかげで政治情勢も比較的安定している。
しかし、マレーシアは、労働力の質と規模が限られていることが阻害要因となって、ITサービスやビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)市場における世界シェアを獲得しづらい状況になっているとOoiは警告する。Ooiによれば、この市場の規模は、2006年までに7500億ドルを越えると期待されているという。
同報告書によると、スキルの高いIT労働者に対する需要を満たすために、インドでは毎年、英語を話せる上に高い専門スキルをもった学士号取得者を約200万人輩出しているという。これに対し、マレーシアでITや工学系の学士号を取得する人の数は年間7万5000人だと、当地で現地時間1日に開催されたビジネスカンファレンスの席上でOoiは述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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