固定電話サービス参入のソフトバンクに株価7200円説

 割安な基本料金の固定電話サービスに参入すると発表したソフトバンクの株価が順調な上昇トレンドをみせ、5000円台の回復が目前となってきた。こうしたなかで、外国証券会社のモルガンスタンレー証券が9月1日付けのリポートで、ソフトバンクの株価目標を7200円に引き上げた。今回明らかにした新規事業への参入に対する株式市場の評価と今後のソフトバンクの株価動向を探った。

 モルガンスタンレー証券はリポートで、投資判断「OVER WEIGHT(強気)」を継続しつつ、目標株価を前回の5700円から7200円へと大幅に引き上げた。リポートでは「ソフトバンクの時価総額は現在、上場資産の市場価格すら反映していない」とし、中核のブロードバンド事業の長期的に持続可能な競争優位がますます明確になり、財務見通しが安定することを勘案すると、こうした状況は長くは続かないと分析している。

 また8月30日には、割安基本料金の固定電話サービスを今年末に開始することを正式に発表したが、同証券では、日本テレコム活用による新サービスのメリットとして、

  1. NTTの交換機を回避することで接続料が半減する
  2. 以前はNTTが独占していた月次の基本料金や付加サービスからの収入など、付加的な料金収入を新たに徴収することが可能となる
  3. ターゲットユーザーの拡大

――などを挙げている。

 市場では、「個人投資家にとって、ソフトバンク人気復活による投資環境全般へのプラス効果は大きい。日本テレコムとのネットワークサービス事業の将来性には高い評価を与えていいのではないか。株価も4月5日の年初来高値5760円回復から7000円を目指す展開も夢ではなさそうだ」(準大手証券投資情報部)との強気な声がきかれた。

 しかし、一方で外国証券のアナリストからは「孫正義社長は会見で、買収した日本テレコムの基幹回線網を生かした自前のネットワークによる格安料金を強調していた。しかし、市内アクセス網は従来通りNTTの局舎やドライカッパーを借りるわけで、旧態依然の交換機への投資は費用対効果の点で必ずしもプラスとはいえないのではないか」との冷静な見方も出ている。

 一方、NTT株価は50万円を割り込み、下値を模索する厳しい展開となっている。三菱証券では8月31日付で「低価格電話サービスの最悪シナリオにおけるインパクトは当初想定以上に膨らむ可能性も」として、NTTの株価判断を従来の「B+」から「B」に引き下げた。日本テレコムによる新サービスが正式発表され、基本料金をNTTより最大210円低くした「おとくライン」は、その料金格差の小ささから現在のNTTの加入者シェアを脅かすほどの競争力は感じられないとしながらも、「規制面での矛盾を利用した同サービスが、NTT以外の既存ユーザーを取り込むだけで、当初想定以上にNTTの従来型収入基盤を揺るがす可能性も出てきた」と指摘し、株価については「当面のボトムと思われる今期予想ベースのPBR1倍水準の45万円(2日終値は46万9000円)を下値ラインとして意識する一方で、株式市場では極大リスクを念頭においた悲観論が広がることで、短期的な株価の回復は期待し難くなった」と指摘している。

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