Googleの新規株式公開(IPO)は上々の滑り出しを見せたようだが、逆に株主への対応に関する評価は地に落ちた。
検索大手のGoogleは、同社のコーポレートガバナンスについて、大手アドバイザリサービス企業Institutional Shareholder Services(ISS)から手厳しい評価を受けた。ISSは、Googleの2階級の議決権制度などについて言及した。
S&P 500の企業の中で、Googleよりも低い評価を受けたのは全体のわずか0.2%だった。またGoogleは、ISSのコーポレートガバナンスについての評価指標であるCorporate Governance Quotientでも最下位にランクされた。
Googleは先週、Nasdaqへの待望のIPOを果たしたが、その準備段階で幾多の困難に直面した同社にとって、今回のランキングはまさに泣きっ面に蜂と言える。また折りしも、EnronやWorldComなどの経営スキャンダルをきっかけに株式会社がコーポレートガバナンスの問題について厳しい監視下に置かれている最中である。
Googleは「Don’t be evil(悪いことはするな)」という社内モットーに誇りを持っており、個人投資家と機関投資家を同じ土俵に乗せる手段として、ダッチオークションによるIPOを他社に先駆けて実施した。
しかし、Googleは外部の投資家を社内の株主に比べ非常に不利な立場に置く統治構造を取っているとISSは批判している。
ISSは声明の中で次のように述べている。「(Googleの)シニアマネジメントチームの実力のほどは全くの未知数であり、取締役会は初期の資金提供者が大半を占めている。しかも、彼らは他の株主よりもはるかに高額の短期的利益を手にする可能性がある。そんな経営陣にGoogleの株主は当面、全幅の信頼を寄せるしかない」
GoogleはISSによるコーポレートガバナンスについての同社の格付けについてコメントを避けた。
ISSは、投資信託や年金基金のマネージャーといった機関投資家向けにコーポレートガバナンスについてのレポートを提供すると共に、議決権を行使する際に株主はどのように投票するべきかをアドバイスしている。ISSのアドバイスは大多数の株主の投票動向に影響を与えるため、同社の提案や勧告の標的となっている株式会社は、それらを気にしがちだ。
ISSは最近の報告書の中でGoogle批判を展開しているが、中でもGoogleの2種類の株式と2階級の議決権について特に大きく取り上げている。これは、クラス Aの株主が1株あたり1票の議決権しか持たないのに対し、クラス Bの株主は1株あたり10票分の議決権を行使できるというものだ。
ISSは、「(Googleの)議決権構造では、インサイダーには1株あたり10票分の議決権が与えられるのに対し、IPOの参加者には1株あたり1票の議決権しか与えられない」と述べ、さらに「IPO前に株式を取得した既存株主が保有する株式のうち、IPOで売却される株式の数を土壇場になって減らしたため、Googleのインサイダーは当面、同社の経営について全権を握ることが確実となった」と語った。
またISSによると、同社の取締役のうち3分の2弱は「社外」取締役で、さらに同社のCEOは複数の“関連組織” の取引に関与しているという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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