RealNetworksは、Apple Computerに対する音楽「戦争」を一段とエスカレートさせたが、同社にとってはこれが予想外の結果になってしまったようだ。
両社の敵対関係は、7月の終わりに始まった。この時、RealはAppleの不正コピー防止技術「FairPlay」のコードをクラッキングし、RealPlayer Music Storeで購入した曲をiPodで再生できるようにしたが、この動きがAppleの機嫌を著しく損ねてしまった。Realはその後、Appleに対する圧力を強めることに決め、自社でダウンロード販売する楽曲の値段を、Appleの半値に切り下げた。
だが、音楽ファンに自社のオープンなスタンスを支持してもらうことを狙ったキャンペーンを開始し、支持を訴える呼びかけを行ったRealにとって、事態は期待と異なる展開になってしまった。現在同社による請願のページには、イタズラや反Realの書き込みがあふれている。
RealNetworksが立ち上げたwww.freedomofmusicchoice.orgサイトにある請願書には、「Appleよ、iPodを台無しにしないで("Hey Apple! Don't break my iPod") 」というタイトルが付けられている。
「御社は長い間、技術革新とオープンな競争を支持してきた。われわれは、iPodで聴く曲の購入場所を顧客自らが決める権利を支持するよう要求する。『音楽の選択の自由』("Freedom of Music Choice")を要求する。デジタル音楽が1カ所からしか購入できないような状況にしないで欲しい。これでは競争が台無しになる。革新が抑止されてしまう。iPodなどのデジタルミュージックプレイヤーの普及が遅れてしまう」と、この請願書には書かれている。
ここでは訪問者に対し、請願書への署名とコメントの記入を求めており、現在900人分以上の署名が集まっている。しかし、署名者の残したコメントの多くは決して好意的なものでなく、Realに対する厳しい、あるいは口汚い言葉がつづられている。そして、同サイト訪問者の攻撃は、Realの最高経営責任者(CEO)Rob Glaserに集中している。
「Michael Jackson」「The Pope」「Bill Clinton」などと称する訪問者たちは、自分たちにはすでに選択の自由があり、AppleのiTunes音楽配信サービスを選択することでこれを行使している、との見解を示した。Rich Mertzという人物のコメントには、「君たちは絶対に間違っている。君らのいう『選択肢』が皆から望まれているとすれば、それを押しつける必要はないはずだ。本当の選択肢を与えられたわれわれの大半は、君らとそのやり方の消滅を望む。『競争』とは、好きなときにリバースエンジニアを行う権利を与えるものではなく、知的所有権を侵したものに罰を与えるものだ。これは純然たる窃盗行為である」と書かれている。
ほかにも、RealのRhapsodyミュージックストアがMacをサポートしないことに異議を唱える意見も見られる。MacUserという訪問者は、「私はMacintoshを使うことにしている。Realはなぜ私をサポートしてくれないのか?RhapsodyはMacで動作しない。これでは、たとえRealから曲を購入したくても不可能だ」と書いている。
Realの株価は、音楽の価格引き下げとこの呼びかけとが災いし、20%下落して1株5ドルで17日の取引を終えている。
だが、なかにはRealの取り組みを支持する者もいる。Juan Noylesという人物は「Jobsよ、あんまりしみったれたことをいうな!」と書き込んでいる。また、Jasonというファーストネームしか記していないある人物は、「私は、リアルによるこの行動に承認を与えないわけにはいかない。プロプライエタリなファイルフォーマットが顧客のためになったことは1度もない。市場での競争を促すものは、どんなものでも良くないわけがない。たとえそれが、Realのような開発者から出されたものであってもだ」
自社に対する反発があまりに強いのを目にしたRealは、はじめに公開した誓願を1度引っ込め、コメント部分を無くしたものを改めてサイトにあげ直したが、それでも署名者の名前があった部分が見えていた。だが、署名者の多くは「Realはサイテー('Real sucks')」といった類の名前を使っていたため、同社では結局名前も見えないようにしてしまった。
freedomofmusicchoice.orgサイトではいまでもコメントを受け付けているものの、ただし投稿するにはユーザー登録する必要がある。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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