今年初め、韓国の国家選挙委員会は選挙に伴う賄賂授受の証拠を提供した人物に報奨金を与えると発表した。韓国では贈収賄が慢性的な問題となっており、政治家が票を買い集めたり、大企業から箱いっぱいの現金を受け取ったりしていることはよく知られている(賄賂の授受にはりんご箱が用いられることが多く、平均的なりんご箱には1億ウォン、米ドルに換算すると8万5000ドルが入る)。
国家選挙委員会は不正の迅速な摘発を目指して、携帯電話キャリアのKTF、ウェブポータルのNaverと協力して携帯電話を利用した通報システムを構築し、証拠写真の提供を呼びかけた。これまでに数人の市民が贈収賄の証拠写真を送り、5000ドルの報奨金を受け取っている。
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この改革は功を奏しているようだ。今年4月15日に行われた選挙では2084人が贈収賄容疑で調書を取られ、このうち508人が起訴された。
携帯電話を利用した告発は政治の世界にとどまらない。体罰問題が世論をにぎわせていたときは、教師が生徒を殴っているところを携帯電話で撮影した写真が出回った。
変化の波は「財閥」と呼ばれる韓国の巨大コングロマリットにも及んでおり、政治家はグループ内で価格等の便宜をはかる財閥制度の改革を求めている。SamsungやHyundaiといった財閥が韓国の発展に寄与したことは間違いないとしても、その影響力はあまりにも大きく、新興企業や公平な競争の妨げになっていると批判陣営は指摘する。
「公正な取引の促進と、内部取引の撲滅に取り組んでいる」と情報通信省国際協力局長のSang-kyoo Choiはいう。「財閥はもはや、数年前と同じ特権を享受することはできない」
![]() 取り外し可能なスクリーンとさまざまな電子機能を搭載したSamsungのインターネット冷蔵庫。インターネット冷蔵庫は同社のホームネットワーク戦略の一部だ。(写真:Michael Kanellos) |
この国に根を下ろしつつある改革の気運は、若い世代にも受け継がれることになりそうだ。ITは教育制度の改善にも利用されている。韓国の公共テレビ放送は今年4月から、米国のSAT(大学進学適性試験)にあたる修学能力試験に焦点をあてた、無料対策講座のインターネット配信を開始した。
韓国の高校生は熱心に授業に出席し、ときには夜半過ぎまで勉強して、11月の試験シーズンに備える。毎年この時期には国中が不安に包まれる。初回の試験放送には10万人が同時に接続した。
「われわれはインターネットの新しい使い方を開拓した」と情報大臣のChinは胸を張る。同氏によれば、韓国では家庭教師の費用が家計の大きな負担になっているという。
韓国の若者は商用ブロードバンドサービスの発展にも大きく寄与している。通信企業は重要なのは接続速度だけではないことを若者から学んだ。たとえば、Cyworldは自社のブログサービスにユーザーを象徴するキャラクター「アバター」を取り入れることで、高い人気を集めている。
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韓国のトラッキングサービス企業Rankey.comの調べによると、SK Telecomグループの一員であるCyworldは、5月の第3週に1日あたり約300万ヒットを記録したという。2003年5月には300万人だった会員も、2004年2月には600万人に倍増している。
Cyworldでは基本的なサービスは無料だが、50セントから5ドルを払って拡張サービスに申し込めば、自分のアバターに靴をはかせたり、ブランドの服を着せたり、車を持たせたりすることができる。現在はほとんどの会員がこのサービスを利用している。
「北米のキャリアはおしなべて自分たちのサービスをユーティリティと考えている」とSamsungのグローバルマーケティングを統括するエグゼクティブバイスプレジデントEric Kimはいう。「彼らの関心は分あたりの料金であって、ライフスタイルではない」
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