AT&Tが個人向け電話ビジネスから撤退するとの決断を下したが、これはネット電話業界に対して1つの教訓を残すことになった。その教訓とは「バンドルせよ、さもなくば競争上の問題に直面することになる」というものだ。
AT&Tは米国時間22日、規制によってコストが高くつき、サービスの提供が困難になったことを理由に、新たな市内電話サービスの加入者募集を行わないことにしたと語った。既存の加入者向けには引き続きサービスを提供するが、その人数も今後は減少するものと同社では見込んでいる。
現在、インターネット電話プロバイダの多くは、ブロードバンド回線経由の安価な、無制限の短距離および長距離の電話サービスを提供することに専念している。
AT&Tの最高経営責任者(CEO)David Dormanは今週、金融界に対して、企業顧客がこうした販売方法を時代遅れだと考えていることや、米国の約40%の世帯が、ブロードバンドやテレビ放送とバンドルされて大幅に値引きされた電話サービスに加入していると語った。
「市場では今、バンドルサービスを販売するのが主流になっている」(Dorman)
サービスをバンドルして販売する闘いに敗れた結果、同社は市内電話ビジネスからの撤退を余儀なくされた。
Verizon CommunicationsやComcastをはじめ、ほとんどの電話会社やケーブル事業者は、独自のネットワークを所有しているため、インターネットサービスと他の商品をバンドル販売することが可能となっている。
しかしVonageや8x8、SkypeをはじめとするVoIPプロバイダは、自社ネットワークを所有していないため、「バンドルするサービスが他にない」状況に陥っている、とNet2PhoneのシニアバイスプレジデントSarah Hofstetterは言う。ブロードバンド電話サービスプロバイダのNet2Phoneは、主にケーブル事業者と提携してサービスを展開している。
一括りに「Baby Bells」と呼ばれる、米国の大手地域電話会社は、競争に関する規制の廃止を決定した先ごろの連邦裁の判決を受けて、料金値上の準備を進めている。この規制は、Bell各社が競合他社に地域電話網をリースする際の料金を設定していた。しかし、これがなくなり、回線リース料が値上げされることで、AT&Tにとっては市内電話サービスをディスカウントしてバンドルサービスに含めることが難しくなったとDormanは説明している。
「(回線のリースに)消極的な地域電話会社と流動的な規制環境に自社の将来を託すことは、AT&Tにとって単純にリスクも不確実性も大きすぎる」(Dorman)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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