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「日本はITインフラ先進国でも利活用は遅れている」内閣官房・山田安秀氏 - (page 2)

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まだまだ遅れを取っている利活用の状況

--かなりの成果を上げてきた、ということは分かったのですが、それでもなお残る課題といいますか、整備が遅れている部分というのはあるのでしょうか?

山田: 遅れている部分は、やはりITの利活用になるでしょう。先ほどは学校でのインターネット接続の話をしましたが、他にも例えば、医療のレセプト(診療報酬請求)の電子化については、韓国ではオンライン請求率が2002年秋の段階で既に72.5%に達しているのですが、日本では現在に至ってもオンライン請求はゼロ%です。そもそも法令上、医療レセプトはオンラインでの請求ができず、磁気媒体(FD)経由しかできません。

 他にも、医療の情報化については、電子カルテとか処方箋とか診断書の電子的な交付・保存と言った問題をどう取り扱うかについて、現在厚生労働省の医政局長の下、ぜんぶ一括して電子化できるようにしようと言う取り組みをしているところです(※注4)。この結論は今年の9月に出る予定です。基本的には全部電子化する方向ですが、医療は個人情報保護が強く意識されなければならない分野なので、その辺を詰めているところ。

 いずれにせよ、これから医療が重要課題として浮上してくることは間違いないでしょう。関連するマーケットも非常に大きく、我々もその重要性を認識していて、e-Japan戦略IIの利活用面のトップバッターに医療を持ってきたという経緯があります。

 コンテンツの部分も後れを取っていると言えます。最近アニメなどが注目を集めていますが、実写とか、デジタル書籍などを含めたトータルでGDP比の国際比較をしてみると、世界平均よりも低い状況です。米国はGDPの5%を占めており、GDPの規模を重ね合わせても、同じレベルとは言えません。

 あと、IT利活用のキラーアプリケーションとして非常に重要視されてきているのが、やや言葉は古いですが、テレワークという、いわゆる在宅勤務と電子会議を総称したような、ITを活用したフレキシブルなワーキング、またはコラボレーションのスタイルです。これを海外と比較すると、やや大ざっぱな試算ですけど、海外、特にテレワークが進んでいると言われる北欧諸国と比べると日本はまだまだ遅れている現状がある(フィンランドが総労働人口の10.8%を占めるが、我が国では5.8%)。

 もちろん、例えばITの世界の人はかなりテレワーク的な新しい労働スタイルは定着してきていると思います。でも、大会社とかではほとんどそれは認められていない。一番厳しいのが、我々公務員でして。公務員は制度上、裁量労働制を実行するのは極めて難しい状況です。これではテレワークもへったくれもない、ということで、各省庁の人事当局と厳しい折衝を重ねているところです。(笑)

 民間企業ではまだ、理解が早いので先見的な企業は運用面の改善が進んでいますけど、それでも裁量労働制に掛かる制限が多いという問題があります。公務員はそもそも在宅勤務という労働スタイルが具体的な就業規則上の規定に存在しないので、家で仕事をしてしまうと、国が給与を払ってくれる保証がないといういびつな状況になっています。

 民間企業では、テレワークによるコスト削減と労働環境の改善というメリットが見えるから話は早いのですが、公務員の人たちは基本的にそういう視点を持っていないのです。抵抗勢力は大きいですね(笑)。

 このようなITの利活用を指標的に見てみると、世界経済フォーラム(ダボス会議、WEF)が出している世界IT報告のランキング(※注5)では、日本は2000年に20位、2001年に21位、2002年に20位ときて、昨年一気にジャンプアップして、12位になっています。今年は一桁、それも上の方に入るぞと言う意気込みでやっています。他の国も日本がいつの間にか上昇してきている事を注目しはじめているという状況です。

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