割引と遅延
今週注目を集めたエンタープライズソフトウェアメーカーが不調要因として挙げる意見には共通点がみられる。Siebelの、「原因は、四半期末に特定の潜在顧客や既存顧客の購買決定が予想外に遅れたためだ」という説明に代表されるような意見だ。
PeopleSoftは、Oracleによる買収騒動が不調の原因だとした。しかし、一部のアナリストは、PeopleSoftが米国時間の7日に発表した業績予測の下方修正は、昨年のJ.D. Edwards買収や、受注から納品までの時間が長期化していることが原因だとしている。
Pacific Growth Equitiesのアナリスト、Patrick Masonは、「企業はソフトウェアに大規模な投資をするつもりはあるが、単純に今がその時機でないと考えている」と述べる。
実際に大企業が購入判断を下すと、大幅な値引きを求めてきて、それがさらにソフトウェアメーカーの利益を少なくさせてしまう、とアナリストはいう。この傾向は数年前に始まり、当面は続くことが予想される。年間売上高が10億ドル以上の企業に勤めるITマネジャー25名を対象にForrester Researchが先日実施した調査によると、約半数が2004年以降の数年間は値引き傾向が続くものと考えている。
特に、ERP(Enterprise Resource Planning)ソフトウェアを販売するPeopleSoftなどの企業が厳しい影響を受けている。これらの企業はOracleやSAPとともに、財務や人事などの業務管理ソフトウェアを販売している。
多くの大企業が過去10年間で、ERPシステムを導入するのに何百万ドルもの資金を投資してきた。企業各社は、処理の増加に合わせて製品を買い足すのではなく、既に所有するソフトウェアを手直ししながら、システムを実業務に適応させていきたいと考えている。
悪い情報はエンタープライズソフトウェアの様々な分野に波及している。CRM(顧客リレーション管理)ソフトウェアを開発するKana Softwareは7日、第2四半期の総売上高が、1050〜1150万ドルになりそうだと発表した。これは、事前の予測値や、前年同期の売上(1210万ドル)を下回る数値だ。
Kanaの最高経営責任者(CEO)、Chuck Bayは声明の中で、「今四半期には受注できるだろうと見込んでいた大型案件が、契約締結には至らなかった。最高財務責任者(CFO)や最高情報責任者(CIO)が大型エンタープライズアプリケーションの購入に慎重な姿勢を示し、先送りしいる。この傾向は今後も続くものと思われる。われわれの得意分野の1つである金融業界で合併や買収がたくさん起こり、これが状況をさらに悪化させている」と述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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