スパイウェアに目を光らせるLookSmart
あるインターネット関連の上場企業は、Googleや他の大手検索エンジンを食い物にしているスパイウェアメーカーから距離を置こうとしている。
オンライン検索/ディレクトリサービス企業のLookSmartは最近、Googleのテキスト広告を利用して同社のテキスト広告を流布した企業を特定するため、自社の提携企業を調査したという。その結果、ある提携企業がLookSmartの許可なく同社のサイトをClickthrutracking.comと呼ばれるウェブサイトにリンクさせ、そのサイト上でGoogleだけでなくYahooやMicrosoftのMSNの広告付き検索結果ページ上にLookSmartのテキスト広告を表示できるようにしていた疑いがあることが分かった。
サンフランシスコに拠点を置くLookSmartは今年6月、同社が提携している全ての企業宛てに、Clickthrutracking.comとの連携を禁じる内容の書簡を送付した。LookSmartはClicktrutracking.comというドメイン名を所有していると見られる問題の提携企業の名は明らかにしなかったが、ドメイン名登録情報検索サービスのWhoisで調べたところ、同ドメインの所有者はアリゾナ州フェニックスに拠点を置くSearch Requestという企業であることが判明した。そこで同社について、アリゾナ州のフェニックスとスコッツデールの事業許可局に問い合わせたが、同州で営業している企業の中にそのような社名や住所の企業は存在しなかった。現在、その企業のウェブサイトは断続的にサービスを停止している。
LookSmartの広報担当のDakota Sullivanは、「我々は問題のあるサイトのブラックリストを作成しており、(提携企業は)それらのサイトからのトラフィックは受け付けない。そのリストにはClickthrutracking.comも含まれている」と述べた上で、「(提携企業は)問題のサイトからのトラフィックは遮断するが、すり抜けてしまったトラフィックに関しては、我々は料金を支払わない」と語った。
一時的であるにせよ、LookSmartと問題の広告配信企業とが提携していた事実は、スパイウェア(の影響)がインターネット業界全体に浸透している実態を浮き彫りにしている。スパイウェアの呪縛から逃れることは、そのような実態に疑いすら抱いていないウェブユーザーと同様、インターネット企業にとっても困難になりつつある。
スパイウェア/アドウェアメーカーの数は増加傾向にある。それらのソフトを使えば、誰でも比較的容易に利益を上げられるためだ。GoogleやYahooをはじめとする検索エンジンは、ユーザーがスポンサー付きテキスト広告をクリックする度にマーケッターから料金を徴収する。各マーケッターは、そのプログラムに資金を出して加入し、特定の製品やサービスを探し求めている人々が広告を見てくれることを願って、関連キーワードに入札する。
大手/準大手の検索エンジンはそれらのテキスト広告をサードパーティのサイト運営者に配布し、ユーザーがクリックする度に入る広告収入を分け合う。よって、スパイウェアメーカーが人気の高い検索エンジンの検索結果に、自社の集めたテキスト広告が表示される仕組みを作れれば、彼らには自動的に広告収入が入ってくることになる。
ダウンロードサイト、TucowsのElliot Noss社長は、「検索広告業界のグレーマーケットの規模や範囲は信じられないくらい大きい」と述べ、さらに「明るいグレーから暗いグレーまで、あらゆる類のものがある」と語った。
広告配信をめぐる提携関係の複雑さは、Yahooが最近ウェブユーザー向けにブラウザ上のスパイウェアやウイルスを遮断するツールの提供を開始したことを見ても明らかだ。しかし、Yahooが提供するそのツールバーアプリケーションでも遮断できない広告ソフトがある。かつてGatorという社名で知られたアドウェアプロバイダ最大手の一社で、物議を醸しているClariaが提供する広告ソフトがその一例だ。Clariaの自社製ツールSearch Scoutは、ユーザーがGoogleで検索を行なうとYahooのOverture Servicesが配信する広告をポップアップウィンドウの形で表示してしまう。Clariaは総売上の3割をOvertureから得ている。
またインターネットサービスプロバイダ(ISP)の550Accessが今年3月に導入したツールバーは、検索結果ページに表示される特定の広告を遮断し、代わりに別の広告を表示するというものだ。
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