シカゴ発--インターネット電話用ソフトウェアを開発するSylantro Systemsでは、Yahooのインスタントメッセージ(IM)が電話にとって代わると考えているようだ。同社は米国時間22日、通信事業者向けに、YahooのIMソフトを利用したVoIPサービスを提供できる新しいツールを発表した。同社によれば、これは業界初の試みだという。
Sylantroのシニアバイスプレジデント、David Illingによると、同社はこのツールを米国の通信事業者に売り込む予定で、各通信事業者がこれを加入者向けサービスとして提供することになるという。このサービスの利用者は、YahooのIMを使って各通信事業者のVoIPサービスを利用できるようになる。
SBC CommunicationsとVerizon Communicationsは、すでにSylantroのVoIPソフトウェアを利用している関係から、このIM用ツールを採用する可能性もあるが、ただし現時点では両社とも契約の締結には至っていない。この新しいソフトウェアは、今週当地で開催中の電話業界のトレードショー「Supercomm 2004」で初めて披露されている。
Sylantroは、YahooのIMソフトでVoIP通話を可能にするための機能拡張に関して、Yahooと正式な契約を結んだわけではなく、Yahooが公開しているインターフェースを利用して、この新しいツールを開発したとしている。
これに対し、Yahooの広報担当者は、「Sylantroによる当社製品統合の取り組みについては承知しておらず、したがってYahoo Messengerを使ってSylantroのサービスを実装する計画もない」と語った。
このツールはYahoo IM 6.0上で動作する。Sylantroはすでに、各サービスプロバイダが様々なインターフェース--各種ブラウザや電子メールクライアントソフトのMicrosoft Outlook、電話機のディスプレイなど--を通して、顧客にVoIP機能を提供するため製品を取りそろえており、同ツールはこれらの製品群に加わることになる。
Yahoo Messengerのユーザー間では、ヘッドホンをコンピュータに接続するだけで会話できる無料通話サービスが、すでにかなり利用されている。しかし、ある関係者によれば、分単位で課金する有料サービスにはまだそれほど利用者がいないという。このプレミアムサービスでは、通話相手のコンピュータだけでなく、通常の電話機にも電話をかけられる。
Illingによると、音声機能に対する新たな関心の高まりは「まさにこの業界が必要とするものだ」という。また、Yahoo Messengerが4000万台のコンピュータにインストールされていることを考えれば、インターネット電話業界にとってYahoo Messengerのユーザーは最大の顧客ベースであると、同氏は付け加えた。さらに、Yahooのこの試みに対抗して、同社の2大ライバルであるMicrosoftとAmerica Onlineも同様のサービスを始めるかも知れない。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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