Apple Computerの最も広く知られた「秘密」であったiTunes Music Storeの欧州進出が、現地時間15日についに実現した。
15日午前よりロンドンで開催された発表会の冒頭では、巨大な会場にカントリーミュージックやオールディーズが響き渡った。その発表会の席でAppleは、英国やフランス、ドイツのユーザーが、70万曲の楽曲に加え、ビデオやカセットブックにアクセス可能になったことを明らかにした。
この発表会にはAppleの最高経営責任者(CEO)Steve Jobsも出席し、新たに運営開始されるオンラインミュージックストアを「世界最高のジュークボックス」と呼び、iTunesを声高に売り込んだ。
iTunesは米国の合法音楽ダウンロード市場で70%のシェアを占める。同社は2003年4月のサービス開始以来、8500万曲以上の楽曲を販売してきた。
今度はヨーロッパの3カ国でも米国のiTunes市場でのような成功を収めたいとAppleは考えている。同社は、楽曲販売で欧州の62%、世界の23%を占める市場に参入することになる。
十代の若者やヨーロッパの古くからの音楽ファンを新たに顧客として迎えるJobsは、iTunesのビジネス展望について強気の姿勢を見せた。MicrosoftやOD2がそれぞれのオンラインミュージックストアを前日に立ち上げているにもかかわらず、Jobsはライバルたちの取り組みを問題にもしなかった。
「iTunesの真のライバルは著作権侵害だ。今や著作権侵害は非常に大きな市場になっている。これがわれわれのライバルだ。著作権侵害と競争するには、これを理解し、より優れた製品を提供する必要がある」(Jobs)
Jobsは不法ダウンロード利用者にどうやって有料サービスを使わせるつもりなのか。Appleの実現する「完璧な」エンコーディングによって、より優れたサービスを提供することだ、と同氏は話す。
音楽ファンの欲求は、音楽以外のもので満たすことも可能だ。音楽ファンは、アルバムのカバーをダウンロードして印刷できるようになることでも満足する。iTunesはすべての楽曲やミュージックビデオ、限定盤用にプレビューを用意しているという。
ソウル界のスターAlicia Keysも発表会に登場し、AppleのCEOを支持した。
「好きなアーティストを支援するのは大切なことだ」(Keys)
Appleの1曲99セントという価格設定ポリシーは、大西洋横断後、どうなるのだろうか。英国では、シングルが1曲あたり1ドル42セント(79ペンス)、ほとんどのアルバムが14ドル54セントで販売されることになる。また、フランスやドイツでは、シングルが1曲あたり1ドル20セント、アルバムが平均12ドル7セントで販売される。
英国のユーザーはシングル1曲にこれだけの金額を支払う見返りとして、同一のプレイリストを7回までCDにコピーすることができ、また個別の楽曲のコピーについては回数が無制限となっている。さらに、これらの楽曲は合わせて5台までのコンピュータ(MacもしくはPC)で再生可能で、iPodへのファイルの移動に台数の制限はない。
MicrosoftとiTunesの間では現在ダウンロードをめぐって休戦状態となっているが、JobsはMicrosoftに対して当てこする機会を見逃しはしなかった。
「iTunesは、これまでつくられたなかでも最高のWindowsアプリだと言われている。これ以上皮肉な言葉は他に思いつかない」(Jobs)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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