連邦選挙管理委員会の会長が8日(米国時間)、選挙管理委員が調査できるように、電子投票機のベンダー各社はシステムのソースコードを公開すべきだと発言した。
Election Assistance Commission(EAC)のDeForest Soaries会長は、電子投票機で使用するソフトウェアのソースコードが公開されれば、選挙方法や手順に対する国民の信頼を回復する上で、助けになるだろうと述べた。また同会長は、メリーランド州の選挙管理委員たちとともにした夕食会の席で、(電子投票機の)ベンダーに「ソースコードを非公開にする権利を与える」べきではないと語った。
Soaries会長の提案には、セキュリティチェックの標準化やトラブルに関する記録の管理強化などが含まれているが、投票機に紙製のレシートを発行する機能を付加するよう要求するまでには至らなかった。一部の権利擁護団体は、「voter-verified paper ballots(投票者が紙ベースで投票内容を最終確認できるようにする仕組み)」を求めてロビー活動を行なっている。紙のような形で投票結果が物理的に保存できれば、電子投票機のバグが発生した際に、問題を特定するための追跡調査が可能になる。
Soaries会長は「(電子投票機をめぐる)この論争は、今は米国内だけのものだが、間もなく世界的な議論に発展するだろう。自分がそのような論争の中心にいることに気付いた」と述べ、さらに「人口の28〜29%が利用する電子投票機の安全をどうすれば確保できるか」と語った。
11月に行なわれる大統領選挙では、およそ5000万人の米国民が電子投票機を利用すると見られている。
しかし、Soaries会長の提案がどの程度の影響力を持つかは不明だ。同会長も、自分たちの見解を州の選挙管理委員会に義務付ける権限がEACにはないことをあっさりと認めている。さらに同会長は、自らの提案について、EACの他の3人のメンバーとまだ交渉を始めておらず、支持を取り付けていないことも明らかにした。
「今こそ、コンピュータ科学者と選挙管理委員が協力して問題の解決を図るべき時だ」(Soaries)
メリーランド州の選挙管理委員Linda Lamoneは夕食会の後に行なわれたインタビューの中で、Soaries会長の提案を「すばらしい」と賞賛した。
Lamoneによると、メリーランド州では、ボルティモアを除く全ての地域の投票所で、電子投票機メーカーのDieboldが開発したシステムを採用しており、同社と機密保持契約を締結した上で、同社からシステムのソースコードを入手しているという。「われわれは既に(Soaries会長の)提案の一部を実行している」(Lamone)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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