IBMは7日(米国時間)に、無秩序に散在する企業情報を統合/整理することを目的とした、統合ソフトウェアの広範なテストプログラムを開始する。
「Masala」という開発コード名で知られる同ソフトは、検索エンジンがウェブ中を巡回するように、拡散するデータソースに同時に検索をかけ、検索結果を表示する。Masalaは昨年発売された「DB2 Information Integrator」のアップデート版で、これまでごく少数の顧客によってテストが行なわれてきたが、7日(米国時間)から広範なテストプログラムが開始される。なお、同製品は年末に発売される予定だ。
現在IBMはデータ統合の分野で、主に小規模事業者やデータ統合ソフト「Liquid Data」を擁するBEA Systemsらとシェアを争っており、このMasalaで同分野への取り組みの強化を図る。市場調査会社Forrester ResearchのアナリストであるPhilip Russomによると、データベースの分野でIBMの最大のライバルにあたるOracleとMicrosoftでも、データベースの追加機能として、いくつかの統合ソフトを提供しているが、これらの製品ではIBMが狙いを定めている広範なデータソースに対する同時検索は行なえないという。
IBMによると、現在DB2 Information Integratorを導入している企業はおよそ1300社に上るという。同社のDB2 Information Integrator担当ディレクターNelson Mattosによると、顧客企業は、企業内で行なわれるトランザクションの流れの監視や、政府の規制に準拠するための情報の収集などに、同ソフトを利用しているという。DB2 Information Integratorは、複数のデータストアに対する一括検索と同時にデータ統合も可能なため、これさえあれば、分析用データを保存する大規模な集中データウェアハウスは不要となる。Mattosによると、全顧客の2割が同製品を使ってOracleやMicrosoftのデータベースから集めたデータの統合を行なっているという。
IBMは、同社のWebFountainプロジェクトの研究結果を基に開発したテキストベースの検索エンジンをMasalaに導入する。Mattosによると、従来のデータベース検索ツールにテキスト検索機能を組み合わせることにより、各企業は、取引に関するデータベース記録などの「構造化されたデータソース」と、ファイルシステムのような構造化されていない情報の両方に対する同時検索が可能になるという。同社は、およそ1万のウェブサイトを包含する内部ポータルで、テキストベースの検索エンジンを使用してきた。
Mattosは「各企業は所定のあらかじめ決められた検索に縛られる必要はない」と述べ、さらに「(Masalaは)構造化されたデータ向けとして非常に人気の高いクエリインターフェースであるだけでなく、構造化されていないデータにも十分対応できる」と語った。
多様なデータソースへの同時検索が可能になれば、各企業は現在の経営状況の把握が容易になり、また既存のデータソースをより有効に利用できるようになる、とRussomは指摘する。
「構造化データと非構造化データは衝突している。これら2種類のデータの統合に特に関心を抱いているのが、これらのデータから集めた重要情報の検索/統合に最も頭を痛めている業界、すなわち保険、金融サービス、保険医療といった業界だ」(Russom)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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