ボーダフォンは5月25日、2003年度の決算を発表した。第3世代携帯電話(3G)に対する投資がかさみ、営業利益、経常利益、当期純利益がいずれも大幅に減少した。
売上高は前年度比3.3%増の1兆5091億円、営業利益は同24.8%減の1832億円、経常利益は同24.1%減の1818億円、当期純利益は同19.7%減の1107億円となった。
営業利益が減少した主な要因は、3G基地局などへの投資や売り残った端末に対する評価損の計上、端末の買い換え顧客に対するインセンティブの増加がある。また、3G端末の投入が遅れたことでヘビーユーザーの流出が起こり、ARPU(加入者1人当たりの月間平均収入)が減少したことも響いた。2003年度下半期のARPUは6490円で、上半期に比べ480円減少している。
ボーダフォン代表執行役社長兼CEOのダリル・E・グリーン氏 |
ボーダフォン代表執行役社長兼CEOのダリル・E・グリーン氏は、「プリペイド端末が好調で、携帯電話をあまり利用しないユーザーが増えた。ローエンドの競争力は増しているが、ハイエンドの競争力が落ちている」と説明。ボーダフォンは加入者純増数が他社に比べて伸び悩んでおり、2003年度末の累計マーケットシェアは18.4%と前年に比べて0.1%減少した。「(シェア拡大に向けて)もっと努力しなければいけない」(グリーン氏)と危機感をあらわにした。
2004年度は3Gに注力するとともに、法人顧客獲得に向けて新たなサービスを展開していく。3Gに関しては、屋内や地下鉄などにもサービスエリアを拡大する。また、端末面も強化する。今までチップセットの開発が遅れたことで端末の投入が遅れていたが、2004年度は音楽再生機能を搭載した端末など、国内・海外メーカーから端末を調達するという。これにより、2004年度中に3Gの加入者数を100万件にする方針だ。
法人顧客に対しては、2004年秋にモバイルVPNサービスを提供する考え。また、国際ローミングも強化する。「今後国際ローミングは大きな強みになる」(グリーン氏)
中長期的な経営目標について聞かれたグリーン氏は、「シェア25%が目標」と話す。特に2006年度中に始まると言われる番号ポータビリティ制度に強い関心を示し、「そこで起こる競争に対して強い姿勢で臨めるような体制が必要だ」とした。
ボーダフォンでは同日、希望退職制度の導入を発表している。全社員3400名のうち、約600名の募集を行う。募集期間は6月28日から7月2日までで、特別割増金を加算した退職金が支給されるほか、再就職支援会社を利用した支援も行うとしている。
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