---Googleのアルゴリズムは拡張性がありますか。たとえば、データベース内のデータ量が2倍になれば、2倍の数のコンピュータを使って検索結果を返すのですか。
Googleのアルゴリズムはスケールします。ですから、ウェブの規模が2倍になれば、コンピュータの数を2倍にすることで、検索性能を一定に保つことができます。
---そのスケーラビリティは、いつか破綻するのですか。それとも、データセットがどれだけ大規模になっても機能するのでしょうか。
私の知っているかぎり、どのような規模のデータセットでも機能するはずです。どこかに上限があるとすれば、まだそこまでの規模に到達していないということでしょう。
---高度な検索機能をオペレーティングシステム(OS)に組み込むべきだと思いますか。それによって、Microsoftは、個人ユーザーの要求に合わせたツールを開発できるでしょうか。そうなった場合、GoogleはMicrosoftが収集する情報にアクセスしますか。
数年前、Microsoft対Netscapeの訴訟で、OSに何を組み込んで何を組み込むべきでないかという議論があったことを覚えています。要するに、OSの定義の問題だと思います。
私は、この問題についてはある時点で興味を失ってしまいました。私の関心は、人々が必要な情報をできるだけ簡単に入手できること、それだけです。
---Microsoftが2006年までWindows XPの次期バージョンを出荷しない可能性が高まったことは、検索分野に恐れと不安をもたらしていると思いますか。
そうしたことはあまり心配していません。Microsoftは検索がユーザーにとって重要であると判断し、そのように公言しています。その点に関してはもちろん、われわれも同感です。
---映像や音声用の検索エンジンの構築はどうして難しいのでしょうか。
1つには、テキストではない情報を言葉にする、つまり何らかの方法で人間に説明させるという点です。これは、簡単ではありませんが、可能だと思います。
この分野は研究者の間でも盛んに取り上げられていますが、当面の問題は、技術面以外の点です。映像や音声の所有者が、自分たちのコンテンツを公開すること、あるいは検索の対象として提供することを必ずしも望んでいないのです。われわれもこの点を尊重し、彼らが自分の所有するコンテンツを検索対象としてウェブ上で快く公開する気になるようなビジネスモデルや何らかの仕組みが登場するまで、映像や音声コンテンツの検索機能を提供するつもりはありません。
---AmazonのA9.comやMSNなどのパーソナライズツールがいくつか登場してきていますが、Googleとは異なる技術を使用しています。Googleのツールはどちらかというと、「われわれに情報をくれれば、お手伝いします」というアプローチですが、他社は「あなたについての情報を収集してからお手伝いします」というアプローチです。Googleのアプローチのほうが優れている理由を教えてください。
後者のシナリオでは、まずコンピュータの側が(ユーザーについて)学習をしてからユーザーのお手伝いをするので、コンピュータは2箇所で知的な判断を下す必要があります。それはそれで興味深いし将来性のあるアプローチかもしれませんが、コンピュータにかかる負荷は大きくなります。一方、ユーザーがコンピュータに興味を持っているものを教えてやれば、コンピュータは、その情報を使ってユーザーの手助け程度に賢ければよいことになります。どちらも、個人情報を使ってユーザーの手助けをするという同じ目標を達成しようとしていますが、そのための方法が異なるだけです。これについては、今後も考えていくつもりです。
---Googleの社風が、創設当時からどのように変わってきたのか、社員第1号としてお話頂けますか。
確かに、Googleは変わりました。以前は社員全員を知っていましたが、今は残念ながらそういうわけにはいきません。私が強く感じているのは、そしてそれが基本的に私がまだGoogleに残っている理由なのですが、社風は変わっても、Googleという会社が依って立つ基本原則は、製品面からも会社の運営方針という点でも、設立当初から変わっていないという点です。
楽しい職場であることは重要であると今も信じています。これは設立当初からまったく変わっていません。ただし、以前は1人のマッサージ師が一日に数回やってくるだけでしたが、今では、社員全員が必要なマッサージを受けられるように、マッサージ師が大挙してやってきますが。
製品面では、われわれは技術を売り物にしている会社であり、ユーザーエクスぺリエンスの向上に注力しています。会社を運営していれば多くの困難な状況に直面しますし、インターネット関連企業にとって5年半というのは長い時間です。こうした困難を乗り越えて一定の業績を残し続けていることは驚くべきことですし、本当に有り難いことだと思っています。
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