サーチエンジンの変更による影響は
これまでGoogleを採用していた米Yahooが自前の検索エンジン「Yahoo! Search Technology」(YST)を開発、今年2月より導入を開始した。Yahoo! JAPANのサイトでも、マルチメディア検索の一部にYSTを使用している。米YahooでYST開発の責任者を務めるVice PresidentのVish Makhijani氏によれば、Yahooが自社エンジンの開発に至った背景には、Googleの勢力が拡大したことよりも、米Overtureが検索で利益を出すことに成功したことが大きいという。これまでは単なる集客のためのツールとして位置づけられていた検索というものを、根本から見直したのだという。それが米Inktomiなどのサーチエンジンやリスティング広告を開発した米Overtureの買収へとつながった(次回はMakhijani氏へのインタビューを掲載予定)。
今後、大手ポータルサイトが検索エンジンを自社開発へと切り替えた場合の影響について萩原/荻野両氏に聞いたところ、どちらも「よほど検索の精度が落ちるといったことがなければ、ユーザー数に大きな変化が起きるとは考えにくい」との回答を得た。例えば、Yahooを使っている人で、「これはYahooの結果、こちらはGoogleの結果」とわかっている人/意識しながら使っている人は、ほとんどいなかったのではないかという考えからだ。逆に、よほど目に見えるような変化がなければ、現在他の検索サイトを使っている人間がわざわざYahooに切り替えるということも予測しにくいという。
インターネットにおける広告活動の変化
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「1、2年前からの印象で言えば、リンクよりも検索ワードから来ている人が増えている気がします。特にアドワーズ/スポンサードサーチが増えることで、直前サイトに検索サイトがピックアップされる可能性は非常に高いし、今後、この比率はますます高くなっていくと思います」(萩原氏)
では、こういった検索キーワード広告が台頭することにより、ウェブでの広告活動はどう変化していくだろうか。
「広告活動とは、適切なタイミングで情報を届けるのが命です。これまで、他メディアの広告は『プロフィールベース』と呼ばれるものでした。例えば、メルセデスベンツを買う人なら年収が1千万円以上、一流上場会社の課長以上──といった、プロフィールを想定してターゲットにしてきたんですね。
しかし、検索サイトにおけるキーワード広告は『ビヘイビアベース』というものです。検索キーワードを入れて検索しているそのときが大きなポイントになる。チャンスは、その情報を知りたいと検索している瞬間だけなんです。最近は『コンタクトポイント』という言い方をしますが、最適なコンタクトポイントで感心のある人たちに情報を届けられるのが、検索キーワード広告が伸びた理由のひとつでしょう。ビヘイビアベースで広告をターゲッティングしていこうという動きは、1997、8年に一度あったのです。それが一旦は沈み込んでしまいましたが、いままたこうして再浮上している。インターネット広告そのものが、ビヘイビアベースへと移行している気がします。
もうひとつ注目したいのは、『オーディエンスマネジメント』という考え方。これは、米Tacoda Systemsや米Revenue Scienceが、媒体社のコンテンツの中身をどう視聴したかにより広告を出していこうというサービスを提供しています。例えばポータルの中にあるECサイトでメルセデスベンツを売りたいとします。これまでは自動車のコンテンツ部分に枠を設け、そこにバナーを貼っておく方式が主流でした。それは、その媒体に来る人そのものの所得が高く自動車に感心がある人たちなので、メルセデスを買うだろうという従来の考え方。それに対してオーディエンスマネジメントは、自動車のコンテンツを月にどれくらい見に来るか、どのページを視聴したかによって広告を出していこうというやり方なんです」(荻野氏)
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