ネットレイティングスの萩原氏も、『とりあえずYahooには何でも揃っている』とインターネット初心者がYahooを勧められる頻度が高いために、Yahooが広く認知されているとの見方をしている。しかし欧米と同じくらいのGoogleファンが、日本にも多いという。これは、サイトを訪れる頻度(フリークエンシー)と利用時間(スティッキネス)の調査から判明したことで、Googleは絶対数こそ少ないものの、両者の度数が高い。実在の店舗でも、フリークエンシーとスティッキネスが高くなればなるほど売り上げが伸びる。つまり日本でもGoogleの利用人数が今後上がるのでは、と萩原氏は見ている。
日本でディレクトリ検索が好まれる理由
Yahoo人気の理由としてよく言われるのがディレクトリ検索の存在だ。実際、国内でのディレクトリ検索使用率は非常に高く、ほとんど使われていない他国とは対照的だ。日本ではディレクトリ検索がなぜこれほどに利用されているのか、萩原氏は次のような仮説を立てている。
「日本人の情報の探し方やインターネットの使い方が、『欲しい情報を検索し、サイトの中にある情報を役立てる』ではなく、『何か面白いサイトを探したい』という、指名買いにも似た感覚ではないでしょうか。ディレクトリ検索は、そういったフォーカス的な情報探しに威力を発揮します。
また、日本人はアルファベットを常用している欧米人と比較して、URLを直接入力することが少ない。欧米では企業名やサービス名などに『.com』『.net』などを付ければ目当てのサイトに行けることがほとんどですが、日本ではそうでないパターンが多々あります。ですから、使用頻度の高いメージャーなサイトでもいちいち検索サイトからというケースも多いのではないでしょうか。
Yahooのディレクトリ検索結果は公式ページか単なる情報ページかの区別が付きやすく、簡単な紹介文が添えられていて、初心者にもとっつきやすい作りです。目的のサイトが見つかったという満足感も大きい。逆にGoogleは、検索結果を適当に抜粋しているだけなので、不親切だと毛嫌いする人がいるのかもしれません。
そもそも、インターネット空間に対するイメージが、日本と欧米ではまったく異なるのだと思います。欧米の人にとってインターネットとは情報の宝庫であり、欲しい資料を探すという意味では図書館に近い。日本でのインターネットというと、コミュニケーションツールであったり、遊び場、遊園地という感じ。自分の興味感心のあるものを集めるという使い方なので、整理されているディレクトリ型が向いているし、日本人の考え方に合っているということではないでしょうか。
これは、検索キーワードランキングにも日米異なる傾向として現れています。米国では時事関連のキーワードが多いのに対し、日本では「2ちゃんねる」や「Google」、各企業サイトのように、目的の場所へ行き着きたい、または「壁紙」「無料」など、自分が関心のあるものを集めるのに使われていますから。
しかし、最初からディレクトリを辿って目当てのサイトを見つけるというやり方ではなく、導線はキーワード検索だと考えるのが妥当でしょう。Yahooの検索結果表示画面は、「Yahoo!サービスとの一致」「Yahoo!カテゴリとの一致」「スポンサーサイト」「Yahoo!登録サイトとの一致」「ページとの一致(ページ検索の結果)」の順番になっており、上部に表示されるサイトの方がアクセスしやすいです。もともとディレクトリが充実していますから、ディレクトリのカテゴリ名が検索ワードに一致する可能性も高いのでしょう」(萩原氏)
荻野氏も、「一般のユーザーで、検索結果がディレクトリによるものか、ロボット検索によるものかを意識している人はいないだろう」との見解を示す。ユーザーがあえてディレクトリ検索を選んでいるというわけでなく、日本人の検索スタイルとYahooの検索表示方法がうまく噛み合った上での結果なのだろう。
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